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写真と真実
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何度も人とぶつかりながら辿りついた部屋は
締め切っていたせいでかなり蒸し暑かった。
冷房をつけて ベッドに横たわると、
徐々に落ち着きを取り戻せた。
…荷物、置いたままだ。
携帯電話もスーツも全部。
「馬鹿だよな…」
自分に呆れる。
どうして僕は、何度も道を間違えるのだろう。
浩之に別れを告げられた時、
もう恋なんてしないと心に決めたはずなのに。
なのに また恋をして、傷をつくる。
いつまで経っても生傷は絶えない。
「…りょーた……良太」
静かに呟けば、部屋に虚しく消えていく彼の名前。
彼の匂いのするTシャツに顔を埋めると、
彼に包まれているかのように錯覚する。
「もう…、終わり…?」
問いかけても答えはない。
“俺が佐伯さんを 離すわけないでしょう?”
いつもみたいに意地悪な笑みを浮かべて。
たった一言、そう言って欲しいだけ。
「離さないって…言ったくせに」
離さないって、約束したのに。
逃げ出したのは…僕の方なのかな。
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