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写真と真実
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相沢の料理、美味しかったな。
相沢の寝顔、可愛かったな。
相沢の声、大好きなんだよな。
相沢の手、大きくて優しくて。
相沢の背中、広くて逞しい。
気がつけばいつも、あなたのことばかり。
病気にでもなったみたいに、あなたばかり。
目を閉じれば、鮮明に蘇ってくる。
あなたと過ごした時間。
あなたのそばで笑った時間。
いつかは色褪せていってしまう、儚い思い出。
「あれ…」
チーズの入った箱の中には 残り一つ。
食べようか、少し迷いながらも
最後のチーズに手を伸ばした。
…夕方にでも、買いに行こう。
口の中に入れると 優しい味と、
独特の苦味が広がる。
それが昔は苦手だった。
だけど今ではそこが好きだ。
そうやって 人は変わっていく。
味覚も、思考も同じ。
歳を重ねれば だんだん大人になっていくものだ。
でも大人になるっていうのは、
決していいことばかりではない。
大人になれば 子供の頃のように
傷だらけになることはできなくなる。
草むらや木が生い茂るところへは入れない。
整備されたアスファルトを歩くのですら、
精一杯なのだ。
年を重ねるごとに、心は弱くなって。
傷つきたくない一心で、捨てられそうになれば
自分から逃げ出すんだ。
仕方がないだろう?
傷つけば、自分が辛くなるのはわかってる。
だから、傷つかない道を選ぶ。
いばらの道を 素足では、あるけやしないんだ。
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