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本音と告白
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止まない雨。
轟く雷鳴。
…佐伯さん、雷 平気かな。
「はは…、未練タラタラ…」
乾いた笑い声と、モノクロの世界。
中途半端に伸びた髭と、力のない瞳。
彼との関係が終わってしまったことよりも
彼を傷つけてしまったことの方が辛かった。
今でも鮮明に覚えてる。
自分が放った一言で、みるみる目を潤ませて。
謝る声は、確かに震えてた。
あの時 引き止めればよかった。
あの時 全て打ち明けてしまえばよかった。
どうにもできないことを考えては、後悔する。
そんな時間を繰り返すことしかできない。
**
時計の針が20時を迎えようとした時、家の電話が鳴った。
重い腰を持ち上げて受話器を取る。
「あ、りょーたー??」
聞こえてきたのは明らかに酔っぱらった弟の声。
どうせヤケ酒でもしてたんだろう。
「…なんだ、お前か」
少しでも期待してしまった自分に 嫌気がさす。
そもそも彼は家の電話番号を知らないというのに。
「なんだ…って、ひどーい。
せっかくイイこと教えてあげようとしたのに」
からかうような言葉に少し腹が立った。
だけど、気になっている自分もいた。
「なんだよ」
聞こえてくる雑音。
その中ですすり泣く声がする。
『りょーた…』
微かに聞こえた、あの人の声。
僕の名前を呼ぶ、愛しい人の声。
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