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恋の痛み
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翌朝。
重たい頭と だるい身体を何とか動かし 風呂へ向かう。
もちろん隣には幸せそうに眠る潤。
“宗司さんだったら”
そう思ってしまうのは仕方の無いことだろう。
脱衣所の大きな鏡に映る自分の姿に 溜息をつく。
至るところにつけられたキスマーク。
赤黒いその痕に爪を立てた。
消したい。
今すぐ消したい。
何度も引っ掻いて、肌が赤くなっていく。
「ッ……ぅ…、…う゛…ぅぅ…ッ…」
噛み締めた唇から漏れる 呻きにも似た泣き声。
抑えていたものが堰を切ったように溢れ出した。
宗司さん以外とはしない。
宗司さん以外とはできない。
つい先日まで そう思って疑わなかった。
「…ぅ……う゛…ッ、…ふッ…ぅう…」
けれど そんな決意は、いとも簡単に壊される。
結局僕は こういう運命なのかもしれないと思った。
黒を知った僕には
黒を知ったなりの生き方しかできない。
無垢なフリをしようとしたって
いつかはこういう風にボロが出る。
最初からわかっていたことじゃないか。
こんな日が来ること。
恋を終わらせなきゃいけない日が来ることなんて。
**
「…おはよう、ございます」
息を弾ませて挨拶をする。
いつもなら半分も埋まっていない席が
今日はほとんど埋まっていた。
いつもより二十分遅くなっただけで
こんなにも変わるものなのかと少し驚く。
遅くなったのにはもちろん理由がある。
まず 赤く腫れた瞼を冷やしていたから。
人前に出られないほど腫れぼったくなった僕の瞼。
今でも少し重たい感じはするが
ほとんど違和感はないはずだ。
それから 中に出された精液の後始末をしていたから。
正直 自分の指でも嫌悪を覚えた。
宗司さんの指の動きを思い出しながら
少しずつ指を沈めていく。
“宗司さん”と小さく名前を呼ぶだけで
不思議と安心した。
席について 部長をちらりと盗み見る。
癖になったこの行為は暫くやめられそうにない。
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