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伊藤side
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小さな体がそこにあった。
僕は夜中に古い友人に呼び出され焦っていたから自転車で駅2つ先まで急いで行った。
そいつの家に着いた時に鍵がポケットに入ってたって気づいてもう最悪。
病院から帰って着替えて寝ようとした瞬間電話が掛かってきたから白衣を着て汗もびっしょりしてまるで医者ではないみたい。
久々に会った友人の顔が真っ青で声も弱々しく震えていて…普段はプライドの王様って呼ばれる程の奴がこんな顔を見せたのは2度目だった。
初めて見たのは奥さんが事故で亡くなった時だった。
「えっと、息子くんは?ていうか熱?風邪?」
「…っ」
こんなに焦ってるって事は高熱とかかな?こいつ不器用で、一度大切な人を失ってるからこういうのに恐怖感を覚えるのは可笑しい事じゃない。
でもなんでそんなに気まずそうな顔をしてるんだろう?
2階の1番奥の部屋に入ったら思っていたのと全然違う…姿の…少年がいた。
身体中に怪我、痣、血が散らばっていて…顔も元の姿が解らない程に腫れていた。
おいおいおい…
少年に近づき他に酷い所はないか観てみたら…
「これ…」
ギロッと友人を睨みつけると目を逸らし「ごめん」と謝られた。
謝る相手間違ってるだろ。
この少年の肛門にから血がぽとぽと垂れていて…酷く傷付いてる。
どうして友人はこんなにか弱く小さな体にこんなふうに傷を付けれるのだろう。
少年の顔を覗いてみたらキツく閉じてる目から涙が出ていて…ピクっと跳ねた手を見たら…小指、薬指、中指が無かった。
「おい…これもお前がやったのか?」
「…」
「これは…父親がやる事なのか?」
「そいつは…そいつのせいで柚は…」
「柚?ああ、奥さん?ふざけてんの?あの人が命を懸けて守った子をお前は壊そうとしてるの?バカじゃないの?
確かに奥さんはお前にとって大切な人だけど、それはこの子も同じじゃないのか?この子も自分を産んだ母親を失くしたんだぞ?
そして今のこの子にはお前しかいない。
その意味がわからないのか?」
「っざけんな!」
大声で叫び俺の襟を掴みながら、友人は涙を流していた。
「ふざけんなよ…解ってる…解ってるから…っ…でも間違ってるんだよ!!間違ってるって解ってるのに…手放せなくて…」
ああ、
こいつは本当に不器用なんだった…
学生時代、好きな女の子に告られて、両想いなのにテンパって相手を傷つけちゃった事もあったな…
「もっと感情に素直になってもいいと思うよ。あと、この子が元気になったらちゃんとお話しした方がいいよ。そして謝れ。」
そのまま静かに泣いている38歳の友人の肩をポンポンとして少年くんの手当てを始めた。
親子揃って泣いてるとかなんのギャグだよ。
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