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家族の意味
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それから俊介さんは、まるで別人になったかの様に僕に優しくしてくれた。
多分、俊介さんは昔からこうだったんだと思う。
今まで、ストイックで冷たいオーラをしてたけど…実は優しくて、明るい人だった。
10年以上はこんな俊介さんと僕は一緒だったと思うと、少し切なくなる。
記憶さえなくならなかったら…
とか思うから。
伊藤さんは週3くらいのペースで家に来て、まだ完全に治ってない怪我の手当てと、僕のお話を聴いてくれたり、そして最近は勉強をみてくれたりしてる。
俊介さんに頼まれたらしい。
僕は高1までしか通ってなかったから、やっぱり勉強はしたほうがいいって。
だから、毎日が楽しく感じる様になったんだ。
でもそれ以上に今の僕は浮かれている。
だって、記憶上初めての誕生日を祝ってもらったから。
その日は俊介さんは仕事なはずなのに、わざわざ俺のために休んで、一日中僕と一緒に居てくれた。
豪華な料理も俊介さんが作ってくれて、ホールケーキも買ってくれた!
そしてプレゼントにって洋服、ゲーム機、そして何故か三日月が吊るされてるネックレスを貰った。
何故月なのかと聞いたら
「月を見るたび柚月を思い出すから」
だって。
ぅぅぅー
俊介さんキザいよ…
もっと好きになりそう…
でも、俊介さんは、僕の好きをソウイウ意味で言ってるとは思ってないんだろうな。
だって、この間、俊介さんを呼んだら
「ねえ、俺の事また父さんって呼ばない?」
って言われたから。
俊介さんの好きは、息子としての好きだから。
俊介さんは僕とまた家族になりたいって言ってたし。
だからそれに従うしかないんだ。
僕の好きを押し付けたら今度こそ捨てられるかもしれないから。
家族になるのは嬉しい事なのに、
キリッと胸が痛んだ。
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