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仲直り
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どうしてこんなにふうになるまで俺はこの子を傷つけてきたのだろう。
今の俺には、この小さな指を切り落とす事なんてできやしないのに…
柚月はなにも悪くないのに…
「ぅぅ……っ」
きつく抱き締めても震えが収まらないのを見てまた胸が痛くなる。
俺が付けた心の傷は、俺には癒せないと言われてるみたいで…
「柚月…もう怖くないよ…」
「いたい…の…やだっ…」
「うん…痛くしないよ?大丈夫…柚月、顔を見せて?」
柚月の顔を見た瞬間…
「綺麗だ…」
その言葉だけが頭によぎった。
痛々しいくらい目元が腫れてるのに、泣きすぎて目が真っ赤になっているのに…すごく綺麗だと思った。
そして、その小さくて、真っ赤に、すこし血が滲んでる唇に触れるだけのキスを落とした。
「んっ」
「柚月っ」
「しゅ…すけさん…」
キスに驚いたのか、涙も止まり複雑な顔で俺を見上げた。
そりゃそうだよな…
そりゃ自分を散々傷つけてきた奴なんかにキスされても…迷惑なだけだよな…
「俊介さん…」
傷つけてきた俺自身も傷付いてる事に気付いたのか…俺の胸に顔をうずめ、ぎゅっと俺の首に腕を回してきた。
「柚月?」
「ありがとう」
「え?」
思いもしなかった言葉が聴こえて思わず間抜けな声を出してしまった。
「帰って来てくれて…ありがとう…」
「なにを…」
「もう、帰ってこないかと…思った。
僕が悪い子だから、もう捨てられたかと思った……ぅっ……ぼくっ……しゅ…すけっ…さんが…いないと……っ」
「うん。もういいよ。」
せっかく止まった涙がまた溢れ出てきて、その涙の理由が『俺が帰って来ないかと思った』なんて…
ものすごく愛おしくて…
ああ、もっと愛したい。
愛してあげたい。
そう思った。
散々傷つけてきたのに、俺が居ないと嫌だなんて言われたら、さすがに自分の本当の気持ちも自覚するわ。
この愛おしさもすべて…
「柚月」
「うんっ」
「愛してるよ」
「ふぇ!?」
勢いよく顔を上げて俺の顔を覗いてきた。
ああ、やっぱり…
「愛してるよ、柚月」
「そ、それは…息子として?」
「そりゃもちろん息子としても好きだけど、それよりもっと…これから先、ずっと一緒にいたいっていう好き。」
伝わるかな?
「そ、それは……僕と同じ好き?」
「柚月の好きはどういう好き?」
「えっ…そ、それは…」
そう聴いたら大袈裟なくらいに顔を赤く染めて…
「俊介さんと結婚したい…好き」
「ふはっ」
「あ!!笑わないでよ!!」
「ごめんごめん…可愛くてつい…ね?」
「だ、だからどうなの?
そ…その…僕と…結婚してくれる?」
顔を真っ赤にして、プルプルと震えてる体をもう一度抱き締めて、
「うん…結婚したいよ」
「うんっ…俊介さんっ、好きっ」
「俺も…愛してるよ」
そうやって、心から想いが通じ合い、情けないけど、俺も涙を流していた。
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