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「お、俺…電話していいんですか?」
ケー番も貰ったけどいざそこにあると…どうしたらいいのかよくわかんない。
電話したいけど…迷惑じゃないのかな?
休みの日にまで病人に構ってもらうとか俺からしたら迷惑だけど…
だけど…
掛けたい。
「いいに決まってるじゃないですか。先生も瀬川さんとお話がしたいから渡したんですよ?」
「そ、そうですか…」
いいんだよね?
一気に元気になった気分。
「じゃあ私はもう行きますね?なんかあったら呼んでください」
「あ、はい。ありがとう」
部屋に一人になってから、いつ電話するかタイミングが付かなくて…ま、ただ緊張してるだけだけど…
でも、もじもじしててもなんもないから…
よし!
緊張で震えながら先生の番号を押して…
いくぞ。
コールし始めて、一気に緊張感が湧いた。
どうしよ、もし出てくれなかったらとかやっぱり忙しかったとか…
や、やっぱり辞めようか…
『はい?もしもし』
で、出た!!!
「も、もしもし…お、俺…です…」
『えー?おれおれ詐欺?』
そうだよ!名乗らなくてどうすんだよ!
「ち、違くて…」
『あはは、冗談。尊くんでしょ?』
「えっ…なんで…」
『声でわかるよ。で、どうしたの?』
「…」
やばい。声だけでわかってくれるなんて…
『尊くん?』
「あっ!えっと!うーん…」
そういえばただ声が聞きたいと思って電話したけど、何話そうか考えてなかった…
『伊藤さん?ちょっと、ちゃんとしてください。僕がこれやりますよ……』
え?
今、先生じゃない声が聞こえた。
先生を先生って呼ばない声を。
若くて可愛らしい男の声を…
『ちょっと柚月くん!!それやったら僕が怒られる!!』
柚月くん。
あぁ…
柚月さんと一緒にいるんだ。
『はやくこっちやってくださいよ、電話してる暇があるなら。そのために呼んだんだから』
『えぇー、僕と二人きりになりたかったんじゃなかったの?』
『伊藤さんと二人きりになっていい事なんかありません。もう…また俊介さんに怒られるよ?』
俺が知らない先生。
俺が知らない誰かと一緒にいる。
口調も全然しがうし…
先生の声が柚月さんを好きって言ってる様にしか聴こえない。
「…」
『あ、尊くん?ごめんね!今ちょっと作業中で…後で先生から折り返しかけるから今は休んでて?』
「…あ、はい……突然電話しちゃってごめんなさい。」
『いやいや、尊くん悪くないから謝らないでね?じゃぁ』
「…」
通話が切れた音しか聴こえなくなって…
あぁ、切られたんだなーって呑気に思った。
柚月さんと予定があるから俺んとこに来れなかったんだよな。
俺、自分ではちょっと自信あった。
先生に気に入られてる自信があった。
でも、やっぱり柚月さんには勝てないんだよね。
先生に会いに行きたいのに、動けなくて。
「っ…んでっ…」
なんで。
俺なの。
「俺っ……が、病気なのっ…」
俺じゃなくてもいいのに。
俺じゃない誰かが俺の代わりに病気になればいいのに
「もう…嫌…だっ」
いつも俺だけが痛くて
俺だけが惨めで
俺だけ…全てがつまんない。
「死ねっ!!」
死んでほしい。
はやく死ねばいい。
俺なんか、はやく死ねばいいのに
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