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ストーカーが出来上がるまで
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〜卯月side〜
俺の名前は卯月 七瀬
燐陽学園図書委員長だ
いつものように図書室のカウンターに座って貸し出し、返却の仕事をしていた
「あの、これ借ります」
「ああ」
これが俺と筧の出会いだった────
次の日
「これ、返します」
昨日本を借りた奴、ネクタイの色からみて1年だろう
貸し出しカードには筧 浩二と書いてあった
学園の中では珍しくこの図書室を利用している
その中でも図書室を利用する時間が長い
暫く本棚を見ていたが、困った顔をしてカウンターの方に来た
「すみません。この本の続きありませんか?」
そう言って差し出したのは厚手のハードカバー
今俺が借りている本だった
「すまない。今、俺が借りている」
「…そうでしたか。委員長もこの本好きなんですか?」
「ああ、好きな作者でな。ハードカバーは高いから借りることにしている」
「僕もなんです。藤空さんの作品、面白いですよね」
と言って小さく笑う
「じゃあ、『心ここに在らず』って読んだことありますか?」
『心ここに在らず』
作家藤空 夏目の作品で、恋をした少女が一途に少年を思い続ける物語
だが、恋は盲目と言う言葉通り一途に少年を思い続けた少女はやがて周りが見えなくなる。更に思い続ける相手が結婚してしまい少女は抜け殻のようになってしまう。人はこれ程までに人を思えるのだと知った作品だ
「いいですよね。切ないですけど、これ程までに自分を思ってくれるっていうのが」
「…少しだが、羨ましいと思う」
「そう…なんですね…」
その時気付いていればよかった────
その日から筧は何かと話しかけてくるようになった
最初は好きな本のこと
次第に誕生日や趣味、休日の過ごし方、仲のいい友達のこと等
そして────
「七瀬さん」
「どうした?」
「俺、七瀬さんのことが好きです」
正直驚いた
だが、筧のことは仲のいい後輩として見ていた
恋愛感情はなかった
「…すまない。気持ちは嬉しいが、筧を恋愛対象として見ることはできない…」
その瞬間筧の目から光が消えた
「…どうして、ですか?」
「お前のことは後輩としか見れな─」
バン!
筧がカウンターを叩く
「何で!どうして!?俺、七瀬さんのこと愛してます!誰にも負けないくらい…前に言いましたよね?一途に思ってくれるのは羨ましいって…」
「そうだか…」
「なら、いいじゃないですか。もしかして、好きな人でも居るんですか?誰ですソレ?消しますから。言ってください」
「筧?何を言って…」
「アハッ…七瀬さん愛してます。貴方だけを愛してます。責任取ってくださいね…?俺を狂わせた七瀬さん…」
俺は怖くなって逃げた
そしてその日から筧のストーカー行為が始まった─────
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