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《緩やかな決着》21
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そして、一時間はあっという間に過ぎて…
「じゃオレ帰るから、頑張ってな」
アキラは業務を終えて満足し、みずきに声をかける。
みずきは早朝4時まで勤務だ…
「ありがとう、気をつけて…」
コンビニ店員のみずきに見送られ家路につくアキラ。
家はすぐそこ、とくに何事もなく帰りつく…
はずだったが…
マンション前に帽子を深く被った一人の男が突っ立っていた…
アキラは無視して少し離れた場所を横切るが…
「……楠木…晃…」
ボソッと呟く男…
「えっ」
名前を呼ばれ、反応して振り返ると…
「っ!?」
なんと、その男がすぐ近くに寄って来ていた。
ゾクッとして後ずさるアキラの右手を…ぎゅっと握ってくる男…
「うっ…げっ!」
右手にネトッとした感触…
何かを擦り付けられた。
男はアキラが驚く顔をみるとニヤっと笑って…あっという間に走り去ってしまった。
悪寒が走るアキラ…
「うわー、最悪ッ!」
アキラはその場で固まる…
右手になすりつけられたブツは…
どうみても精液…
アイツのか!?
勘弁してくれ…!
ぞわぞわっと身体が震える気分を味わうアキラ…
「風呂っ風呂はいろっ!」
取り敢えずティシュで拭きながら、部屋に帰る。
帰ると、二匹の犬たちが迎えてくれるが…
アキラはただいまっと声だけかけて洗面所へ…
「うー気持ち悪りぃ…」
キレイに手を洗い…風呂を沸かす。
ストーカーされた経験はあるが…こんなタチの悪い嫌がらせをされたのは初めてなアキラ…
「アイツは…」
その変態野郎の顔を見たことがあった。
毎日のようにコンビニに来ては…自分のレジに並ぶ…しかし話し掛けてきたりはしない為、あまり印象強くはなかったが…
今日も確か来ていた筈…
だから帰りに待ち伏せしていたのか?
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