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《緩やかな決着》32
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「催眠術というのを知っているかい?」
「催眠…術…?」
単語としては知っているけれど…話が唐突過ぎて…
よく分からないアキラ。
「そう、催眠療法とも呼ばれるかな…ユウ君には何度か催眠術師の元へ通ってもらい…何重も暗示をかける…君への想いを和らげ、違う第三者への想いとなるように…」
「……」
それはつまり…
みずきに催眠をかけて…オレへの気持ちをなかったことにするってこと…?
その催眠術とやらがにわかに信じられなくて…疑うようにフミヒコを見る。
「私の知る催眠療法師はとても優秀だ、元来、ユウ君のように真っ直ぐな人間は催眠にかかりやすい…君の協力があれば必ず成功するだろう」
疑心を感じてすぐに答えてくる。
「何か質問があるかい?」
そう優しく聞くフミヒコ。
「心を操るなんて真似…」
どういう方法でするのかなど、聞きたいことは山ほどあるが…
みずきの心を勝手に弄ぶような真似…
していいわけない。
「倫理から外れている?はじめに言わなかったかな…私は欲しいものを手に入れる為にはなんでもする、金の力に物をいわせてね。ただし本人の強い拒否や心身に影響がある場合は潔く諦める」
フミヒコはフミヒコの持論を説く…
「……」
「反対かな…?今、言ったようにサクヤが嫌であれば無理にとは言わない、君の抱える問題をキミが解決していけるのであれば…私の出番はない…ただ、キミの力になりたいだけだからね」
答えられないアキラへ、見透かしたように囁く…
「……」
オレがこの先…入院して…
付き合うのが苦しくなって、別れようとするけど…
そうすればまた…みずきを傷つける…
でも、そのまま付き合い続けて…
入院中の自分が…みずきにしてあげれることは…何がある?
身体が悪くなって…歩けなくなって…みずきに世話してもらって…
どんどん悪くなってく自分を見せつけて…
結局…みずきを…
悲しませるだけ…
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