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《緩やかな決着》36
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仕事で疲れてんのに犬の散歩まで行って…
仮眠すればいいのにこうやってオレの帰りを待ってて…
「ありがと…みずき」
起こさないよう、囁くようにそっと伝えるアキラ。
「オレは、お前みたいないいヤツに好かれて…すごく、幸せだった…」
ルードに嫌われたと思った時から…もう、後の人生なんか…どうなってもいいって…諦めてたのに…
みずきのおかげで…クリスマスも正月も…誕生日も…旅行だって行けて…楽しく過ごせた…
それなのに…
「いっぱい傷つけて…すごく悪いって思ってる…こんな勝手なオレを解ろうと頑張って…」
その先には…なにもないのに…
声にならない声で伝えるアキラ…
「病気がなかったら…オレはお前と一緒に住み続けたいって…思ったよ…」
こんなに尽くしてくれるみずき…
他に別れる理由なんか見つからない…
けど…
病気はなくならない…
「だから…今度は…お前が幸せになって…」
幸せになって欲しい…それは本心…
もう傷つけたり、苦しませたりしたくないから…
催眠をかければ苦しむことなく気持ちを切り変えさせれるという。
みずきが傷つかず…幸せになれるんだったら…
こんないい方法はないから…
「……」
みずきが望む気持ちは…
一緒に幸せになることだけど…
どうしてもオレとじゃ…
一緒に幸せになることが出来ないから…
ここで断ち切らなきゃいけない…
胸の奥で燻る痛みを伴う感情も…あえて無視をして…
アキラはそっとみずきに着ていた上着をかけてやり…
食事の支度をするためにその場を離れる。
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