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《遠退く想い》26
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アパートの前に車を停めて待つヨシ。
みずきはアキラを背負ったまま後部座席のドアを開ける…
「遅せーぞ!」
軽く言って迎える。
「悪いヨシ、アキラ…いったん座って…」
ヨシに謝って、車の乗り口に座らせる。
「どうかしたのか?」
背負われてきたアキラを見て聞くヨシ。
「あぁ、アキラが足を怪我したみたいで…」
「怪我ぁ?」
「あぁ…やっぱり血が結構出てる…」
車の明かりで足を確認すると、右足の脛を10㎝ほどすりむいていて血が垂れていた。
痛々しい様子に顔をしかめるみずき…
「自分でなんとか出来るだろコイツなら…」
アキラは人間救急箱的認識なヨシ、そう言うが…
「アキラ、手当てするもの何か持って来ているか?」
優しく聞くみずき…
「……」
手当てなんかしなくてもいいと思うアキラだが…
心配そうなみずきを見て…
無言で鞄を探り…大きめのガーゼを取り出して、消毒液をつけて…傷口に押さえ付ける。
「大丈夫か?」
さらに心配する…
「平気だから…お前も手拭けよ‥、血がついたんだろ…」
ウエットテイッシュを渡しながら言うアキラ。
「あぁ、ありがとう…」
手についたアキラの血を拭いて、お礼を言う。
「そろそろ乗れよ、車出せねぇだろー」
ヨシがそう促す…
「あぁ、分かった。アキラそれでいいのか?」
消毒したガーゼを捨てて、傷口に特に何も貼っていないアキラ。
「もう、血…止まったから…このままでいい」
小さく頷く。
「そうか…なら車乗ろう、立てれるか?」
「……」
わからない…
この両足…力が入るかどうか…
でも…みずきの前では、これ以上心配かけないように…
両手で車のドアを掴んで、立ち上がろうとする。
「…アキラ、俺につかまって…」
そっと身体を寄せアキラの背を支えながら言うみずき…
「……」
そんなみずきの優しさに何も答えられないアキラだったが…
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