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《別れの階段》6
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「……」
催眠…
成功するに決まっているけれど…
心のどこかでまだみずきを失いたくないともがいている自分がいて…
殴りたくなるな…こんな女々しい自分を…
自己嫌悪に苛まれる思考を途切れさせたひとつの声…
「やぁ、サクヤ」
「ふ、フミヒコさん!?なんでここに…」
振り返るといつもの余裕の笑みをたたえたフミヒコがいた。
「サクヤが手に入る記念の日だからね、ぜひ私も見学しようと思ってね」
余興か何かを楽しむように話すフミヒコ。
「…そんなこと、」
その言葉に少し苛立ちをおぼえるアキラ。
「もう、催眠は始まった…後戻りはできないからね」
念を押すようにフミヒコは言う。
「分かってる」
俯き自分に言い聞かすように言葉にするが…
「ならこれもいらないね」
すっと左手をとり、薬指にはまっているシルバーリングを抜き取るフミヒコ。
「っ、」
驚き見返すアキラ。
「もう、君には必要ないものだ、そうだろう?」
指輪を目の前にちらつかせ、そう聞いてくる。
「……それは、あいつに返さなきゃ」
「その必要はない」
フミヒコは止める隙を与えさせず、躊躇うことなく指輪を開いていた窓の外へ投げ捨てる。
「っ!?何す…ッ!」
驚き立ち上がり言葉を出すアキラだが…
唐突に抱き寄せられ、口を塞がれる。
「ッ、…ん、やッ」
突然の激しい口付けに、拒否の言葉が口をついてでる。
「…君がそんなに未練がましい人間だったとはね、忘れられないなら君も催眠にかかってみるかい?」
微笑み言うフミヒコだが…瞳は笑っていない。
「…ふ、フミヒコさん?」
ゾクリと背筋が震え、この人物の本質を見たように感じるアキラ。
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