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《フミヒコの思惑》6
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「今回かけた暗示は、まず彼の中にある君の強い存在感を薄めていく為に、君の本名で彼がいつも呼ぶ名前『アキラ』という単語を封じました。彼が名前を呼ぼうとしてもその名前だけは発することはないでしょう」
「……」
もうみずきに名前を呼ばれることはない。
そういうこと…
「そして不安になれば私のもとへ行きたくなるように暗示しています。来院した際には、君への想いを無くしていくよう追加で暗示をかけていきます。これは暗示を複数回に分けて確実に浸透させていくためです」
「最後は、混乱状態に陥った際の救済策です。『サクヤ』という言葉を聞くと、落ち着くと同時に、君のことを想うことが煩わしくなるよう暗示をかけています。彼が暗示によって苦しんでいたら、『サクヤ』と言葉にしてください、これが一番重要です。君がこの暗示を繰り返し発動することで彼への暗示は成功に近づいていきます」
「……」
「それとフミヒコ様からの指示で追加に暗示をしていますが…内容は伝えないようにとのことでお話できません。ただ、お二人が別れやすいようにと言われていました」
「……」
追加暗示、何を考えているのか気になるが…
言えないというものを敢えて聞けない。
俯いて聞いているアキラ…
「これらの暗示は、当然彼は受けたことを覚えていません。しかし意識下で生きているので徐々に効果を発揮するでしょう」
やはり優しい口調で伝えられる。
「暗示…解く方法は…?」
ぽつりと、なぜかそんな質問をしてしまう。
「この暗示は心の奥底の意識にかけています、解くためには再び私が操作しなければ一生解けません…しかし、強い痛みや脳に衝撃をあたえれば一時的に暗示を無効化することは可能です」
ちゃんとアキラの質問に答え、やや首を傾げ聞いてくる。
「もしかして…君は、暗示をかけることを戸惑っているのですか?」
「えっ」
「フミヒコ様からは、これは君の意志であると聞いています。その為、暗示の成功には君の協力がなにより必要です。しっかりしてくださいね」
「はい、」
再び意志を確かめられたアキラ。
暗示に協力する。
もう、後戻りは出来ないから…
「では、どうぞお帰りください…何かあればこちらへ連絡して頂ければ力になります」
アキラは名刺を受け取り、部屋を出る。
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