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《フミヒコの思惑》7
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待合室で待っているみずきにそっと声をかける。
「みずき、帰ろ」
どことなく声に力がないアキラ…
隠しきれない疲労感がにじみ出ている。
「あぁ、何を話していたんだ?」
みずきはアキラの体調が気になってはいるがあまりしつこいと不機嫌になるので…
普通に話しかけ様子を窺う。
「ん?世間話だよ…」
少し微笑んで答えるアキラ。
「そうか…」
「みずき…」
瞳を見つめ名前を呼ぶ。
もう呼び返してくれることはない。
少し寂しく思ってしまう心。
「どうした?」
「ううん、今日は楽しかったよ」
「あぁ‥俺もだ、また来よう」
いつもと変わらぬみずきの笑顔。
「……」
次来るときも…
別れるために暗示をかけられる。
何も疑わないみずき。
オレが隠し事をもうしないと信じてくれているから…
また、裏切ってしまっているんだ…。
医院から出て、タクシー乗り場までの道のりをゆっくり歩く2人。
アキラはみずきの足元を辿るように俯いて歩いている。
息遣いもつらそうだ…
やはり体調がかなり悪い様子。
「大丈夫か?本当に顔色が悪い、病院に寄って帰るか?」
黙っていられずそっと聞いてみる。
「ううん、病院はいい、……少し休ませて…」
なんとかみずきについて歩きながら答えるアキラ。
「あぁ、あの店でも入るか…、ッ!?」
少し休ませようと指差して、一瞬、店に視線を走らせるみずきだったが…
ドサッとすぐ近くで倒れる影。
不意にアキラはよろめいてアスファルトの道に倒れ込んでいた…
「…ッ!?」
驚いてすぐ屈み様子をうかがうみずき…
アキラはぐったりと意識を失っていた。
転倒した際に額を少し擦りむいて出血している。
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