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《フミヒコの思惑》8
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額の傷を拭いながら…
「大丈夫かっア…っ!?」
アキラの名前を呼ぼうとするが、言葉にならない。
「あ…」
もう一度呼びかけようとするが、名前を無理に言おうとすると何ともいえない不快感に襲われるみずき。
混乱しながら、アキラの手に触れると…
「えっ、指輪がない…」
左手の薬指にあるはずのものがないことに気づく。
「な…ぜ、いや、それより今は‥」
指輪がなく、名前が呼べないことに激しく困惑するみずきだが…
倒れたアキラをみるのが先決と思い、意識のないアキラを抱きかかえる。
顔色が悪く蒼白…
しかし発熱している。
汗もにじみ出ていて息遣いはあらくないが…
外出で疲れたのか…貧血?
でも病院は行きたくないと言っていたから…
早く家に連れて帰って休ませよう!
混乱しながらもそう思いアキラを抱きかかえたまま立って、みずきは急いでタクシーを拾い家へと急ぐ。
アキラを抱え、タクシーから降り入り口のドアの横にいったんアキラを座らせて鍵を開けようとしてハッとするみずき。
一緒に住んでいるアキラのマンションではなく、無意識に自分が借りているアパートへ帰ってきていたのだ。
「…なぜ、ここは…」
タツたちの撮影があった場所で…アキラは来たくないと言っていたのに。
自分がした行動が説明つかなくて呆然としてしまうみずきだが…
今からタクシーを呼んでアキラのマンションに行くよりは、少しでもここで休ませてから
と思い直してアパートの戸を開ける。
アキラと暮らしていた面影の全くないガランとした部屋。
家具はアキラのマンションに全て移動したから、もとからあった自分の棚くらいしかない。
アキラを連れて入るが、ソファもベッドもないため休ませる場所がない。
「…すまない」
取り敢えず床にアキラをそっと寝させ‥奥に布団を敷こうと動く…
その間もまったく目を醒まさないアキラ。
日中の外出、さらにフミヒコから受けた性行為や暗示のことが体力と精神力を奪い尽くしてしまっていた。
昏睡するように眠り続ける…。
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