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《廻らぬ歯車》5
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通話ボタンを押すみずき。
『あ、みずき?ちょっと聞きてーんだけど、お前らゴールデンウイーク中いつか休みある?瞬助が聞いてきてな、アキラの携帯また通じないらしいし…ちゃんと充電してんのかアイツ』
ヨシはみずきの身に起こっていることなどつゆ知らずで、相変わらずのペースで明るく話してくる。
「……」
しかし、ヨシの問いには答えることができないみずき。
『…みずき?』
返事のないみずきを不信に思って…名前を呼ぶヨシ。
「ヨシ…俺は…」
みずきはようやく声を出す。
『……みずき、どうかした?何かあったのか!?』
返ってきた言葉に力はなく…今にも消え入りそうなみずきの声を聞いて…ヨシは直感でそう聞き正す。
「自分がわからない」
なおも不安定なみずきの様子。
電話口からでも痛いほど伝わる。
『え…、』
「俺はどうかしている、頭が…記憶が…っ」
苦しそうなみずきに…
『ちょ、お前今どこにいるんだ!?』
「ア…、…マンションの前、っ」
(アキラのマンション前)と言おうとして、やはり名前が言葉にならなくて…さらに悔しさが増す。
『すぐ行くから動くなよ!!絶対動くな…いいな!!』
尋常ではないみずきの様子。
ヨシは強くみずきに言い聞かせ…
慌てたように電話が切れる。
「……」
通話が途切れた携帯電話を握りしめ…
途方に暮れてしまいそうな心をなんとか縛りつける。
10数分後。
ヨシが運転する車がアキラのマンション前に到着する。
みずきの姿を確認すると…急いで車を近づける。
花壇の角に俯いて座っているみずき。
「みずき!…大丈夫か?取りあえず乗れよ」
一旦、車から降りてみずきの様子を確認しながら車に促すヨシ。
「…ヨシ、」
伝えたいことは沢山あるが何から伝えていいのか混乱していて言葉がでない。
頷いて助手席に乗り込む…
「ったく、どーせアキラだろ!今度は何やらかしたんだあの野郎!」
ヨシも運転席に乗り込み、苛立ったように言葉を出す。
「…違う、」
その言葉に、辛そうに首を横に振るみずき。
「え…」
「俺が、ア…、あいつは何もしていない、俺が一方的に…」
この手が、アキラを…
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