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《廻らぬ歯車》59
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そして、あっと言う間に夜が明けるが…
みずきは眠った時間が遅かったので9時半頃になりようやく目を覚ます。
軽くまばたきしながら辺りを見回すみずき。
「ここは、」
ぐっすり眠れて疲れはとれたようだが…
「アキラは?」
口をついて出るのは無意識でも探してしまう、愛する人の名前。
「……」
また1人でアパートにいる自分。
みずきは、記憶を手繰り寄せる。
昨日俺は…
アキラの家に行って、アキラの無事を確かめた…
アキラは怪我をしていたけれど…
謝ってもかわされるだけで…
その後…
アキラに俺に起こっている事柄を相談して…
「……」
そうしていると急にどうでも良くなって…
「何が?」
アキラのことが…
アキラのことで悩んでいることが…
どうでもいい?
馬鹿な、そんなこと…
しかし昨日、ヨシにもアキラを見限るようなことを平気で言っていた…別れた気になって…
自分で言った言葉なのに信じられない思いになる。
家に帰って…
「っ!!」
指輪…
大切な指輪を俺は…
がばっと起き上がり、昨日の記憶をたよりにゴミ箱を見るみずき。
中から…無造作に棄ててある指輪が2つ出てきた。
「…どうして」
自分は大切な指輪を棄てたりしたんだ。
けれど、昨日はいらないと思った。
確かに過去の産物だと…
なぜそんなことを思ったのか…
指輪を捨てた行為が信じられなくてますます自分に不信感を持つみずき。
アキラをどうでもいいなんて思った自分に自己嫌悪する。
「アキラ…」
数日前まで一緒に住んでいたのに、今は別々…それも…自分が選んでこのアパートに帰ってきているのだ。
隣にアキラがいない、物寂しいこのアパートに…
わからない、自分が…
ヒーリングの先生に相談するか?
いや精神科に行った方がいいんじゃないか?
俺は壊れてる!
「一体、どうしてしまったんだ俺はっ!」
一緒にいることが当然でアキラのそばでアキラを支えていくと誓った筈なのに…
そう思わない自分が存在していて…
この指輪も手に持っていたらまた捨ててしまうかもしれない…
こんな自分、アキラに会う資格があるのか?
勝手にアキラを突き放す言葉を言ってしまうかもしれない…
アキラを傷つけてしまうかもしれない。
それが怖い…
けれど、会いたくて仕方ない…
アキラに会いたい…
どうしたらいいんだ、俺はッ!
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