アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
3
-
一度気になってしまえば駄目だった。
端正な顔立ちには似合わない目の下の濃いクマ。
心なしか顔色も悪い気がする。
「疲れて、ませんか」
思わず口をついて出た言葉はなんの配慮のかけらもないそんな言葉だった。
もっと上手く言葉を紡げたらいいのに、己の口下手に嫌気がさしそうだ。
そんな春樹の心情でもわかったかのように柏木は苦笑をもらした。
「他の奴らにはばれないんだがな・・・まさか初対面のお前にばれるなんてな」
ばれないはずが、ない。
こんな顔色をしていて周りあ気づかない?
いったいどんな周りの人に囲まれているんだと言いたい。
「生徒会の仕事がちょっと忙しくてな」
「生徒会の仕事ってそんなに忙しいんですか?」
言外に、そんな今にもぶっ倒れそうな状況になるぐらいに?と聞く。
親臨学園の生徒会も行事前は忙しそうにはしていたが、それでもここまでではなかったはずだ。
それに、親臨学園と行事が変わらないのであれば、今は行事前ではないはずだ。
通常の時でこんなにもこの人は倒れそうになっているのか?
それに、生徒会長がわざわざ編入生を迎えに来るのもおかしい気がする。
手が、回っていない・・・・?
「清水も親臨学園だからわかるか流石に。確かに、今の時期は行事前でもないから比較的忙しくはないはずなんだがな・・・さっき言っただろう?もう一人の転入生の話」
「それが何か・・・」
含みを持たせたように言う柏木に春樹は首を傾げる。
「俺以外の生徒会役員がその転入生に惚れたんだ」
「ぶふっ・・・」
予想にもしていなかった理由で思わず吹いてしまった。
いや、本当に飲み物を飲んでなくてよかった。
「え、え・・・?」
「その転入生は生徒会役員を始めとした美形に惚れられていてな。学園の雰囲気は最悪だ。制裁は勿論、転入生本人も色々問題を起こすし、他の生徒会役員は仕事をしないもんだから全部俺がやっている」
「しごと、やってないんすか」
最初はすごい転入生だなー、まるで傾国の姫みたいな・・・とか考えていたが最後の言葉に思わず眉間に皺を寄せた。
仮にも生徒会役員が仕事をしないとはどういうことだ。
だから、こんなにも柏木は顔色が悪いのか、と納得する反面、どうにもやりきれない思いが春樹を襲った。
「ああ、転入生のそばにいたいんだと」
呆れたようにそうぽつりと呟いた柏木に胸がぎゅっと締め付けられた。
なんで、他の役員は柏木よりもその転入生を優先する?
今まで共に仕事をしてきた仲間じゃないのか?
そんな恋だのなんだのに現を抜かして、柏木が今にも倒れそうなのに・・・誰にも顔色を咎められなかったのは、周りに人がいる環境ではなかったから、なのか。
「俺は、まだ会長に会って数分しか経ってないけど心配です。見てて倒れそうですよ。だから、ちゃんと休んでください。あぁでも、今日俺を迎えにくるのも余計な仕事増やしてしまってますね、すみません」
そこに関しては厳密に言うと俺のせいではなくて誠美学園の理事長のせいではあるんだけども。
この迎えに来るということをしなければもしかしたら少しは休めていたかもしれないと思うと、謝るしかなかった。
「いや、久々に息抜きが出来た。ありがとな」
少し笑いながら、頭をなでてくる柏木にやっぱりイケメンだなぁなんて検討違いなことを考えた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
5 / 16