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ケー番
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バイトが終わり、遅番の先輩方とバトンタッチ。
帰路についたのは28:00。世間一般では早朝6時。
しまった。
シャンプー買い忘れてた。
24時間営業の店に入る。流石にこの時間帯はガランとしてる。といっても、雑誌コーナーには寝間着姿のおっさんがちらほらいて、入口付近には家出少女らしき子が数人いた。
シャンプーはなんなくゲットできたのだが、食材品売り場は何もない。
仕方ない。明日養成所の帰りに寄ろう。そう思ってレジに並んだときだった。
「マキノくん?」
ふと後ろから声を掛けられた。
どこかで聞いたことのある男性の声。一瞬思い出せなかった。
振り替えると、そこには昼間会った天野夏樹さんがいた。
まさか。そんな偶然。
驚きのこもった声が勝手に出た。
「やっぱりマキノくんだ」
さすがに驚いた。ここ暫くで一番の驚き。
なんでこんなところに、と思って彼の買う商品を見たところで納得する。
彼の手にもシャンプーが握られてた。
「あ!同じメーカーですね」
これまた驚いた。偶然の連鎖に、心臓が早鐘を打つ。
ずっと前まで、あんなに憧れていた人が近くにいるのだ。
こんな時間まで仕事をしたいたのだろうか。
「この匂い好きなんだよねー」
「俺はこれ、頭洗っててスースーするとこが好きっす」
「それ分かるー!」
前まで自分は彼のことを声でしかしらなかった。なのに今は一気に親近感が沸いたというか。
俺も天野さんもレジ袋は貰わなかった。
「もしかして、家この近く?」
ふと聞いてくる天野さん。
「はい。歩いて2分ほどです」
「俺もそれくらいかな。結構近いとこに住んでたんだ」
天野さんと話してて、彼が俺のことをちゃんと対等な関係として話しかけてくれることに驚いた。
あくまでも。彼は有名人なんだから。
ほんと性格いい人だなあ。
「ケー番聞いてい?」
別れ際、ふと聞いてきた。
このノリ。ほんと羨ましい。俺、この一言がなかなか聞けなくてかなり悩むのに。
「夜はだいたいバイトなんで、昼だと繋がりやすいです」
一言添えて、ケータイ番号を教える。
また!と言ってその後別れた。
夜ってこんなに楽しいもんなんだ。
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