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同居人
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新宿東。
ボロい学生アパートの2階に俺らの部屋はある。
たたみ四畳半。風呂は無く、トイレは共同。今時だが、風呂は一回150円の近場の銭湯を利用している。
扉を開けると、部屋は真っ暗だった。
ただ、カーテンが無い分外のネオンが窓から中に入ってくる。
既に、同居人は布団を敷いて寝ていた。
名前はカガリ。保育所時代からの幼馴染み。
寝間着に着替えて、布団を敷いていると、カガリが声をかけてきた。
どうやら、起こしてしまったらしい。
「彼女んとこ?」
唐突に聞いてくる。
彼女と夜まで遊びに行ってたのかと聞いてきた。からの朝帰り。
「そんなんおらんわ。バイトやバイト」
まず彼女なんて俺にはいない。
最近だと、一番仲のいい女性は、あの怖い林檎先生くらいだ・・・。
「晩飯なかったから、マクド行ってきたー」
眠たそうな声。寝言を言っているような言い方だった。
ごめん。と言ってカガリの方を向くと、当の本人は既に寝ている。損した気がした。
彼は歌手志望。
俺と一緒に大阪から出てきた。ギターやピアノ、楽器なら一通りは出来る。
今はタレントの養成所に通っているらしい。今は所属する事務職を探している。
俺より夢に近い人だ、と思う。
ケータイの時刻を見ると午前7時を軽く回っていた。でも、まだ外は暗い。
ケータイの表示画面の下に留守番の表示が一件。多分、天野さんからだ。
ケータイを耳にあてて留守番を聞く。
「もしもし、天野夏樹です。もう寝た?今日はありがとうね。また次会ったらよろしく」
体力も眠気も限界に近かった俺は、天野さんの透き通って落ち着いた声が子守唄になった。
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