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契約と解約
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スタッフルームに行くと、kプロのゼネラルマネージャー、真鍋さんとうちの養成所の社長が話をしていた。
「そうですか、マキノ君を・・・」
「いえ、それが私ではなくてね。うちの天野が気に入ったみたいなので」
「それは珍しい」
「でしょう。私も驚きました。そこでどうでしょう、牧野空さんをうちの事務所で預かりたい」
「それに関しては此方も願ったりですよ。ところで、どのような宣伝法で彼を伸ばしてくれるのでしょうか」
「事務所の全面バックから。という条件でどうでしょうか。去年此方からうちに来た、宿人くんのようにね」
「具体的には?」
「提携している雑誌社からの取材を予定しています。彼の声を人々の耳に慣れ親しめるために、まずはCMで起用またはゴールデンタイムのアニメに起用できるよう掛け合ってみます」
「それなら安心して引き渡せます。彼はここの注目株だったのでね。あとは彼の意識次第ですよ」
少し入りにくい雰囲気だったので、彼らの会話が一区切りついたところで、社長に声をかけた。
「お待たせしました。牧野空です」
「うん、マキノ君おはよう。いいタイミングで来たね」
優しいお祖父さん、のような人。
それとこの業界では、朝昼晩を通して挨拶は、全て「おはよう」 になる。
うちの社長が目で座りなさい、と合図してきたので社長の隣に腰を下ろす。もちろん一番入り口側の席。これは大人のマナー。
と、同時にkプロの真鍋さんが口を開いた。
「さっきぶりだね、マキノくん。早速だけど本題に移らせて貰うよ」
一呼吸置いてから、彼は言った。
「kプロに来ないかい」
それは、この養成所に入ったときから一番聞きたかった言葉。
けど。
いざその言葉を聞くと、どうしていいか分からなくなる。
色々と助けてくれた、ワタルを置いていくのは気が引けた。
でも、きっと。迷う必用なんてない。
さっきワタルと先生は笑顔で自分を送り出してくれたのだから。
「はい!お世話になります」
それから、慣れた手つきで事務所所属についての説明をされて、契約書に名前と朱印を押した。
それプラス、養成所の契約の解除と卒業手続きも書く。
軽く20分ほどで全てが終わった。
「これからは君はkプロの事務所預りの身分になります。私たちは君を全力でバックアップするので、来年の声優アワードで賞を取れるようにお互い頑張りましょう」
最後に社長とマネージャー両方と握手をして俺はスタッフルームを後にした。
メールは逐一チェックして下さいって言ってたっけ。
オーディションや仕事の情報を送ってくれるらしい。
それから、マネージャーがつくとかなんとか。
明日取り合えず事務所に来てくれと言われた。
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