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ライバルはライバルで
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スタッフルーム横の席にワタルは座って待っていた。
「で、どうだった?」
分かりきったことを聞いてくる。
多分、彼なりの挨拶がわりなのだろう。
「俺明日からkプロの預かりになるみたい」
にっと笑うワタル。
「そっか、我が友人ながら誇らしいわ。これから寂しくなるなー」
汐らしい彼の顔。
も、束の間。
「って言いたいのは山々なんだけどよ、俺前から他の事務所から声掛けられてたんだよ。これで悔いなくそっちに行けるわ」
理解不能な俺。
「それって、どういう」
当たり前のように返事を返す彼。
「これからも、ライバルってわけ」
その言葉に安心した。
ワタルとはずっとこのままの関係がいい。
彼がいなかったら、俺は今ごろこの業界を諦めて違う職についていただろうから。
「いつだよ」
そこで疑問を投げ掛ける。
「いつって?」
「声掛けられたの」
ああ、と遠くを見るような目付きの彼。
「3ヶ月ほど前」
おい、なんで俺知らなかったんだよ。
なんか一人でテンション下がったり上がったりバガみたいじゃないか。
「で、どこの事務所だよ」
「アーサー」
興味無さげに言うが、アーサーと言えばkプロと並ぶ声優界の大手じゃないか。
「なんで黙ってたんだよ!」
「お前の成長っぷり、面白かったから」
そういって、頭をわしゃわしゃしてくるワタル。
「やめろって!ワックス取れるだろ」
「いいだろー。今日は愛でたい日なんだから」
「それとこれとは話が別だろ!」
なんだかんだでほっとした午後だった。
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