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変化
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プルル・・・ プルルル・・・
天野さんはツーコールで出た。
「もしもし、俺です」
「お、マキノくんから電話初めてかも。今日はお疲れ様。それから、事務所預かりおめでとう!」
「俺は何も......。ほとんど天野さんのお陰ですよ」
ありがとうございます、と告げる。
が、その声質から俺の状態を察知したのか具合を尋ねてきた。
「どしたの?」
友人と喧嘩をしたこと、変える家がないこと。天野さんにそれら全てを言おうと決めた。
「それが......」
___________
_______
____
「っていうことがありまして......」
俺がそういうと、天野さんがフォローした。
「だから取り合えず事務所に来てもらった」
kプロ、事務所。
ひっきりなしに電話のコールが鳴り止まない中、俺と天野さん、先ほどの真鍋さんが対面している。
「家がないと来たか・・・。これからどうするとか当てはある?」
親身になって聞いてくる真鍋さん。
なにも言えない俺。
その沈黙を破ったのは、意外にも天野さんだった。
「うちくる?」
即答はできなかった。
これ自体は俺とカガリの問題でもあったから。しかも俺のわがままでもある。
「......それは、さすがに悪いですよ」
迷惑じゃないだろうか。
「なら、飯作れる?」
質問を変えてきた。条件反射で答えてしまう。
「はい」
「なら決定。家に置く代わりに、ご飯作ってよ。あと掃除、洗濯、風呂当番もよろしく」
「決まりだね、マキノくん」
もう既に真鍋さん公認。
かなり強引に流されたが、それならそれで助かる。気持ちはさっきより楽になった。
その時ふと事務所にかけてある大きな丸時計が目に入った。バイトの時間を思い出した俺。
「あ。俺そろそろ時間だ・・・」
「バイト?」
はい、と頷く。
「マキノくんうち分かんないよね、後で迎えにいくよ。バイト先なんてとこ?」
「新宿駅のすぐそばにある、インディゴっていうバーです」
道がややこしいから、分からないだろうなあと思ったが、俺の思いやりはどこへやら。二人は目を見合わせて、アイコンタクトを送っている。
「そこってもしかして、オーナーオカマ?」
天野さんが尋ねてきた。
「はい、そうですけど......」
俺までびっくりした。
なんで知ってんだよ。
「宿人くんと同じバイト先?」
「そうです。だからオーナーのこと知ってたんですか?」
首をふる彼ら。何が違うんだよ。
「真鍋さん、またヤバイ子拾っちゃいましたね」
「あの人には逆らえないからねえ」
さっきから、何話してるんだよ。
どうやら彼らに俺のバイト先が知られていたみたい。
別れ際、天野さんが時間を尋ねてきた。
「26時に上がりです。頼めば、早く上げて貰えると思いますが・・・」
「ううん、大丈夫。僕もそれくらいに仕事終わるから」
俺の心を察してくれたよう。
それから事務所を飛び出した。
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