アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
先輩の苦悩
-
バイト先のバー、インディゴ。
今日はいつもより早めに出勤した。
「おはようございます、オーナー」
「あら今日は早いのね、マキノちゃん」
いつもより笑顔のオーナー。
「聞いたわよ、オーディション受かったらしいわね」
「また、オーナーのお友だち情報ですか?」
うんうんと頷くオーナー。
最近知ったことは、この人かなり業界に顔が広いということ。
オーディションの合格通知なんて、俺ら関係者は時期がくるまで身内にも黙ってなければならない。なのになんでこの人は知ってるんだよ。
食器を洗って、酒の補充に取りかかる。
と、今度は奥から宿人先輩が表れた。
「ちーす。マキノっち久しぶり」
相変わらず、笑顔の似合う人。こうやってシフトが被るのは久しぶりだろうか。
「今日は本業の方、休みですか?」
まあね~、と陽気に返す彼。だけど、どこか寂しそう。
「どうしたんですか、らしくないですよ」
「まーねー。来期のオーディション始まったじゃん? 給料不安定の仕事ってキツいよねえ」
やっぱり、どんなに人気があっても、それだけはどうにもならない壁らしい。
「マキノっち、俺まだ今期一本も仕事受かってないからさ......」
「オファーとかは来てないんですか?」
「来てるには来てるんだけど。やっぱりどんどん減ってきてるかも。ヒモジい」
ヒモジイっておっさんか。
「有名どころのゲームに出たら、そっからはイベントで繋いでいけるのになあ」
「宿人先輩は知名度あるじゃないですか。大丈夫ですよ」
「もっと売れたいんだよ~~」
複雑なんだなあ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
36 / 129