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賑やかな先輩
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録音が終わって、音響監督の解散の合図を機に、帰っていく先輩声優陣。
見知った人がいたお陰で、息がつまるといったこともなかった。
アフレコ室にあるソファに座って共演者リストを見返していると天野さんが、話しかけてきた。
「どうだった? 初の本番」
「頭いっぱいいっぱいで、画面と台詞しか見えなかったです...」
まだまだだなあ。
そう思った。
天野さんや宿人先輩は、余裕があって俺に合わせてくれてる。そんな感じさえしたから。
「今回はPV録音だったからね。本番までには他の役者と息を合わせる特訓しとかないとね」
「はい...」
「帰宅してから、やろっか」
どうやら付き合ってくれるらしい。
その言葉を最後に彼は部屋を出ていった。どうやら次の仕事があるらしい。一日に何個も収録をこなしているのか。
「マキノ ソラ!!」
建物を出たところでいきなり名前を呼ばれ、心臓が止まると思った。
しかも先程の一言で一瞬俺へと視線が集まったのが分かる。
俺が何したっちゅーねん!
後ろを振り向くと二人の先輩声優さんがいた。陸さんと海さん。先程のアフレコ現場で一緒だった。
確か金髪にピアスのチャラい雰囲気の方が海さん。
黒髪で大人な雰囲気の方が陸さん。
「飯行くぞ!」
声を発したのは、金髪の方。
と同時に手首を握られた。
「今からですか?!」
ぐいぐいと引っ張られていく俺。
「どうせ午後はオフだろ?」
「...」
初対面なのに、ぐいぐいとくる海さん。言いたいことは沢山あったが、反論できなかった。
「その顔は図星だな。なら、行くぞ牛丼!」
後ろでその一連の動作を黙認している陸さん。連れだろ!あんた何とかしてくれよ!
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