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「名前ネタも忘れてねーよな」
「話変えんなよ!」
渋々と話を変える海さん、陸さん。
たまに名前の違いが判らなくなるが、チャラ男が海さん、寡黙が陸さん。
「俺らの共通点分かるか?」
共通点ですか...
思い付かない。
身長は論外か。
陸さん180ありそうだし、海さんも175そこそこ。俺165だし。
声質とか?
俺と海さんは同じハイボイスをメインとしてる。いやでも、陸さん低いしなー。
同じアニメに出る...っていうのは、三人限定じゃないか。
あ、もしかして...
「名前だ!! 海さんと、陸さん、それから俺が空!!」
それを聞いた海さんが、目をぱああっと輝かせる。
「な!三人合わせて陸海空だろ!!」
先程の落ち込みも忘れたように、興奮した様子で話し出す海。
「すごくね?!これすごくね?!」
「はいはい、すごいすごい」
宥めるように言葉を返す陸さん。かなり棒読み。
「ひでえよ!言い出しっぺはお前だろうが!」
「そーかもねー。そーだった気もするけど、ここ公共の場だからねー。静かにしようねー」
なんなんだこの人たち。
そうこうしているうちに、近くにいたお客さん方から注目されているのに気づいた。
もしかして、五月蝿すぎただろうか...
そんな懺悔も束の間。
「ねえ、この声...坂ノ下陸と佐々木海じゃない?」
「ほんとだ。似てる...!」
「プライベートでも仲いいんだ」
「しっ!声聞こえないでしょ」
彼らが友人のように接してくれるもんだから忘れていた。
陸さんも海さんも、名前の売れている声優さんではないか。
俺、こんな人たちに混ざってランチしててもいいのだろうか。
「でも、あと一人いるよね。 あの人の声聞いたことある?」
「うーん、私は知らないかな。普通の友達とか?」
「えー!超羨ましい」
うん、ですよね。
俺この業界に入ってまだ二週間。
Twitterのフォロワーも現在3名。母親と天野さんとマネージャーのみ。
知名度はゼロに等しい。
ツイートに関しては、見る人が誰もいないので、投稿すら億劫になってくる。
丁度同じ業界の人とのお昼だ。
今のことをTwitterに載せようと思い、写真を撮ってもいいか二人に聞いたら、快く了承を得た。
「リツイートしとくねー。って、フォロワー3人だけ?!」
「はい......」
「うわ、スクショ撮っとこ。すげーレアー」
惨めだ......。
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