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新人声優として
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「1コマ目『火はすべてを照らし~から、神の火と崇めた』まで別撮りで」
現場監督さんが、アフレコルームに入って台本の変更点を連絡する。
他のキャストさん達は彼のスピードに合わせてメモをしていく。
そういや天野さんが、えんぴつでした方がいいとかって言ってたっけ。
「15コマ目、『大事なものなんだろ?』から『両親の形見なんだっけ』」
監督さんが、ポデ役の宿人先輩を見た。確かこれはポデのセリフ。
先輩が質問をする。
「イントネーションは疑問形ですか、それとも・・・」
それに、映像作成の責任者らしき人が、マイクを通して答える。
「そうですね、疑問形のままでお願いします」
34コマ目、『俺に隠し事通じると思ってんのか』のキャストミスプリント。ポデからセージュです。あとはー・・・・・・です」
それらの説明が一通り終わると、今度はアフレコのテストをするということで、無音の動画が流される。
養成所で何度も立ったマイク前。
でも、あの頃とは重みが違う。
あのころの練習は何度だって失敗できた。教えてくれる先生もいた。助言してくれるライバルもいた。
でも、今ここに見本なんてない。
この録音が終われば、BGMや効果音がつけられて、全国に放送される。
心臓がバクバクとなっている。台本を持つ手が震えた。声がうまくでない。なにこれ、変。
マイク前で固まっているとバシン、と背中を思いっきり叩かれた。誰だろう。
後ろを見るより先に、相手が声をかけてきた。
「おいこら空豆!しゃきっとしろよ、しゃきっと!練習何回もしてきたんだろ」
ほっとした。先ほどまでの怒りもどこへやら。
「ありがとうございます、海先輩」
礼を述べて、映像を見直す。ポデ役の宿人先輩が話していた。
次、俺の番だ______
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