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アニメ取材
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海さんや陸さんとともにアフレコルームを出ると、取材の人が待っていた。
主役と準主役を務める、俺と天野さんが指名される。
「牧野空さんですね?」
こくりと頷くと、取材に来た青年は自身の身の内を話した。
「私は月間アニメイクの取材班、佐藤信彦です。本日はアニメ化にちなんで声優の方の意見を起用させてもらいたく、此方に伺いました」
スーツに身を包んだ、礼儀正しい彼。
「少し時間はありますでしょうか」
はい、と頷くとにこりと笑う彼。この人、できる。
それを聞いて、伊集院監督も近づいてくる。
「こちらさんに頼んどいたよ、表紙と見開きでっかく頂戴ってね」
ふふ、と笑ってアニメイクの佐藤さんに向き直る。
「なにしろ、『てっぺん』を目指してくれるそうなんでね」
ふいに後ろからコツンと小突いてくる先輩方。
陸さんが耳打ちした。
「顔合わせの日にお前が言った言葉が嬉しかったんだと」
あの日・・・・・・。
思い出して恥ずかしくなる。
あの後冷静になって考えてみた。
俺みたいなぺーぺーの無名声優が、そんな大それたこと・・・
思い上がりにも限度がある。
忘れ去りたい記憶。
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「何々ー!マキノっち、取材受けてんのー?」
俺が質問に対して、うーんと唸りながら考え事をしていると、わきから宿人先輩が割って入ってきた。
佐藤さんは、それに会釈する。
「何の答えで迷ってんのー?」
「エクトと俺の共通点が出てこなくて・・・」
それを聞いた彼は、「簡単じゃん」と即答する。
「お人よし!」
その話をそばで聞いていた、陸さん海さんも此方に割って入ってくる。
「無垢だな」
「チビ!空豆だし!」
あれほど俺が悩んでいたのが辛くなる。
そんな自分を見て、宿人先輩が俺に指導する。
「俺らみたいになると、キャラの気持ち掴むには、まずキャラと自身の違いと同じところを見つけて、近づけていくんだよ~」
盲点だった。
むしろ今までどうやって俺は役作りをしていたのか・・・。
俺の前に立つ海さん。
「コイツはその面に関してズバ抜けて上手いぞ、旬」
名前呼び。どんな関係なんだろう。
「癪だけどそれは同感だわ。ま、もちっと、お前チャラくなかったら説得力あったんだけどね~」
へらへらして返事を返す宿人先輩。
「は!?旬こそ、前髪伸びすぎだろ。ダセえよ」
すっと二人の間に入って、間を制する、陸さん。
「五月蠅い。取材中だぞ」
どうやら、二人は犬猿の仲のよう・・・。
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