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天野さんの小さな本音
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タクシーから降りて、天野さんを背中に部屋へ向かう。
珍しく彼は酔っていた。
明日午前は仕事がオフだから大丈夫って言ってたけど、二日酔いとか平気なのだろうか。
いつも完璧の天野さんからはこんな姿想像できない。
爽やかで、体はすらっとしてて、ここぞって時に笑みを披露する。
近くに寄れば、柔らかい香水の匂いがして、話してたら安心する声。
・・・思ってたよりも、重たかった。
やっぱ成人男性。
今年で27だっけ。
でも、年齢の割に芸歴は長い。
子供のころから子役として業界では注目されていた・・・らしい。
エレベーターに乗って、上階を目指す。
「天野さん、もうすぐ着きますよ」
俺の肩にだらんとなっている天野さんにそっと声をかける。
「・・・・・・。気持ち悪い・・・」
完全にアウトだ。
「トイレで全部出してくださいよー」
酔って気持ち悪いとき、一番の対処法は吐くこと。だって、自称元ホストの先輩(宿人先輩)が教えてくれた。
扉を開けて、部屋に入る。
まず廊下を抜けた先に広いリビングがあって、キッチンが併設されてる。
大きな窓がカーテンもかからずに、開かれている。
20階からの夜景は酷く綺麗だった。
そして、だだっ広い階段が二階に広がっていて、2階には俺が使ってる部屋を含めて4部屋ある。
もともと両親と共に住んでいたらしいが、今は天野さん一人。
彼一人でここで住んでいたと思うと、空間と不釣り合いに思える。
天野さんをトイレに放置。
俺は、風呂に湯を張り、頭痛止めと水を用意しに行く。
刹那、トイレから人が倒れる音が聞こえた。
嫌な予感・・・
しかしない。
タオルを片手に、音の鳴った方へ向かうと、天野さんが案の定倒れていた。
ツンした匂い。
色々と便座トイレがえぐいことになっている。
「天野さん!大丈夫ですか?!」
最低限彼の顔と体を拭いて、風呂に連れて行くことにした。
こんな天野さん、天野さんじゃない。
「ごめんね・・・」
彼を抱えたとき、ふと、そう言われた。
「翔太見てるみたいで・・・。楽しかった」
しょうた、って誰だろう。
疑問には思ったけど、今は彼を風呂場に連れて行くのが先だ。
服を着たままで湯船の近くで下すと、あとは大丈夫と言う彼に甘んじて俺はトイレの清掃に向かった。
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