アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
眩しい光
-
ドアをドンドンと叩く音と共に、扉は勢いよく開かれた。
外から眩しい日差しが差し込む。
俺の顔が涙でぐしゃぐしゃになってるからか、日差しの所為なのかは分からないが、そこに立っている人物の顔はよく見えなかった。
けれど、立ち方で誰だか分かる。
「警察に通報しました。今すぐマキノくんから離れなさい」
筋の通った、誰も反論を許さない通った声。
声の主はこんな場所にいるはずがない人。
天野さんが助けに来てくれたのだ。
俺の横にいた男が舌打ちをする。
そして俺につけていた拘束用の縄を解いた。
天野さんは俺の方に自分の着ていた上着をそっとかけてくれた。いつまでたっても泣き止まない俺を、彼は黙って抱きしめる。その暖かさに、俺はただただすがった。
優しい彼の手が俺の頭を撫でる。東京に出てきてずっと張っていた緊張がやっと解けた気がした。
こんな場面が来るなんて。
落ち着きを取り戻してきた頃、扉がまた大きく開いた。
次いで外から2人入ってくる。
マネージャーの長谷川さんと、この犯行を企てた男。そして、幾人かの制服を着た警察。
仕事に行かなければ。そう、長谷川さんの顔を見て思い出した。
自身の服を着直して焦り口調で、天野さんにそう告げる。
すると、スタジオには2人が別撮りになるとの連絡を入れたとあっさり返された。
しかしそうは言っても、天野さんにまで迷惑をかけることになるんて。
収録の時間まであと12分。タクシーを使えばなんとかなる。
マネージャーに頼んで、呼んでもらうことにした。
ー ー
結局、泣き疲れた俺の喉は声がいつもより変だということで録音は後日1人で別撮りになった。
その後、マネージャーに連れられて警察へ顔を出し、その足で家まで帰ってきた。
風呂に入ってぼーっとしていると、自分の手が震えていることに気がついた。
仕事の合間は忙しくて昼間のことを忘れることが出来たが、今になってアフレコの用紙を見ると恐怖が俺を支配する。
明日はバイト。次の収録までになんとかしなくては。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
81 / 129