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来月の打ち合わせ
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事務所にて来月の打ち合わせをするからとマネージャーから呼びだされた。
俺の名前が書かれた青色のファイルを持って、机にやってくる長谷川さん。
彼は俺だけじゃなくて、他に複数人の声優をマネージャーとして引き受けているため、こうやってファイル訳しているそう。
といっても、天野さんほどの多忙なクラスになれば、専属のマネージャーがつく。
「調子はどうですか」
長谷川さんはまだ真新しいファイルを忙しそうにめくって、俺に尋ねてきた。
「この間はお世話かけました。もう大丈夫です」
事件から数日は俺への配慮から、禁句となっていた。
まだ怖いことは怖い。しかし、天野さんやバイト先に行って、知り合いの顔を見るたびに恐怖は薄れていったように感じる。
「伝えたいことが3つあります」
息を飲む。
この緊張感にはまだ慣れない。
「まず、来週のアフレコなのですが_______」
『夏の思い出』の収録が金曜から木曜の14:00からに変更。
『Libra』が1クールから2クールへ拡大。
「次ですが……」
また、パラパラとファイルのページを捲る彼。
「冬季アニメのメインオーディションと、外画(洋画)出演のオファーが来ています。それと現在出演しているアニメのキャラクターソングも録音しないといけないですね」
それを聞いて、俺はたどたどしく面接日時をケータイのスケジュール帳に記していく。
どんなにオーディションを受ける機会があったとしても、全力で演技の奥まで考えて表現をしなければ、軽く落とされる。
「最後に、来月の末にアニメ『Libra』のイベントが開かれます。牧野さんは舞台へ立つことは初めてですよね?」
そういえばそうだ。
大阪にいた頃は声優さんの参加するイベントがなかなかなかったので、東京に来るまで知らなかったのだが。
一応舞台に立つ練習は養成所にいた頃に学んだことがある。
ただ、ラジオの収録でさえあんなに自分が上がったのだから、人前に立っても大丈夫なのだろうか。
不安でしかない。
「初めてです…」
「大丈夫です。実はkプロ卒業生で現役の声優は、母校にて無償で授業を受けることが可能なんです。アポイントを取ったところ、今晩から受講可能ということだったので、時間があるときに通ってみてください」
どこまで手が早いんだ。
後で林檎先生に連絡を取ろうと思った。
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