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マクドナルドの密会
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東新宿、交差点脇のマクドナルド。
よく3人が集合場所としているのは、お互いの家からの距離が丁度中間点になるからだ。
「すいません、お待たせしました」
2階の窓側のカウンター席に、コーヒーを片手に陸さんが座っていた。
いつもは海さんがいるので、2人っきりは初めてだ。
「いや、俺もさっき来た所だから」
そういいつつも、彼のコップは既にカラになっていた。
多分長いこと待ってくれていたんだ。
世間話を入れることなく、俺はストレートに話を切り出すことにした。
「あの…話って」
ゴクリと唾を飲みこむ。
それなりに、重い話だという覚悟はしてきた。
「海と、旬のことなんだけど…」
俺の目をじっと見つめて、話し出す陸さん。
彼から目が離せなかった。
「俺は、2人が早く仲直りをして欲しい」
「それは…自分も思います」
俺も一呼吸おいて言葉を返す。
陸さんもそう思っていたのか。
「昔は仲の良い兄弟だったんだよ。この前スタジオで皆で写真を撮った時、それを思い出して…」
俺は1つ、彼に聞きたいことがある。
「過去に、何があったんですか」
昔を思い出しながら重たい口を開く陸さん。
「俺は、もともと旬と付き合ってた」
一回口を噤む。
言おうか言うまいか考えている素振りだった。
俺が、言いにくければ無理に話さなくても…と言おうとした瞬間、彼が口を開いた。
「今の事務所に所属してから、お互いに売れ出してから、世間体を気にする必要が出てきて。……他にも色んな事情が重なって別れた」
「世間体……ですか」
「旬はいつも周りを良く見てる。だから人をまとめるのが上手い。でもそれは長所でもあり短所でもあるんだよ。その分、人一倍周りの目を気にしてる……特に男が男を好きだっていうのは世間ではまだ充分に受け入れられてないから」
何か言える雰囲気でもない。でもそれ以上に、俺がかけれる言葉がなかった。
「俺は、それでもよかったんだけどな…」
陸さんが自分の意見をはっきり言ったのを、俺は初めて見た。
「海さんは、宿人先輩にただ妬いてたんじゃないですか?」
「だから、自分だったら好きな人を悲しませたりしなかったのにって」
俺が言葉を挟むと、陸さんがはっとした顔を見せた。
「そうなのかも、しれないな」
「ああ見えて2人とも、自分の気持ちを伝えるのが不器用だから。誤解が生まれやすいんだ」
一呼吸置いて、陸さんは予め用意していたように、ある言葉を俺にかけた。
「マキノ、手伝ってくれないか」
勿論そのつもりだ。
二つ返事で頷く。
「実は一週間後、うちのバイト先で宿人先輩の送別会をやるんです。それに海さんも誘いたいのですが…」
俺たちの交渉は成立した。
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