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籠の外を夢見た花の話
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鶯は、決して声を出さないらしい。
会話もしないらしい。
ただ、笑ってお酌を注ぐ。
どんな事をされても、何を言われても。
その代わり、床の中では、ただただ声を押し殺しながら涙を流し続けるのだという。
いつからなのか分からない。
なぜなのか、分からない。
しかし、確かに昔、ともに座敷に着いた時も、彼は黙ってお酌を注いでいた。
ただ、そんな噂がたったせいで、鶯を鳴かせるために手段を選ばないような、タチの悪い客が鶯に多くつくようになった。
半分賭け事のように、いろんな客が、鶯を鳴かせようと、訪れるのだ。
拷問のように乱暴に扱われるらしく、鶯の身体には生々しい傷跡。
時折発熱し、床に伏せる事もある。
なのに、鶯は何も言わない。
助けも求めない。
柊達とは言葉を交わし、なんでもない風に過ごす。
客とだけは決して声を発さない。
そんな、鳴かない鶯の噂。
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