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朝の喧騒
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早くに目覚め、携帯を確認すると岬からのメールが来ていた
《高志へ
無理してないですか?俺も、高志と話せないのが寂しいです。早く会いたいです 岬》
今行くよ
そう、心の中で呟いた
ロビーに降りると、田上兄弟勢揃い
「うわっ、ビビらすなよ」
「行くのか?」
「うん…ごめんね。色々迷惑かけて」
「兄弟なんだから、気にするな」
「大兄、ありがと」
「ちゃんと連れ帰るんだぞ?」
「うん、真守兄」
「必ず幸せにしてやれよ。お前には、その義務がある…それと、今回の事情を知っても使いたいってカメラマンが何人か居る。だから、戻ったら仕事に戻れ。逃げる事は許さん。地の果てまで追いかけて、とっ捕まえるからな」
「何気に強いんですけど?聡兄…」
「これ、岬君に渡してくれ。採れたてだから美味いぞ」
「美津兄…ありがと。きっと岬も喜ぶよ」
「すでに外は記者でいっぱいだぞ。心して出陣せよ」
「ラジャ!行って参ります」
戦場に送り出させる兵士の様な気分だ
戦場には変わりないんだろうけど…外は
ゆっくりとエントランスへと歩みを進める
見た限り、10数人は居るだろうか
ふぅっと息を吐き、その中へと飛び込んだ
「ko_siさん、今回の記事について何かお話していただけないでしょうか」
「すみません、急いでるので…」
間を縫う様に進み、待ち構えていた櫻木さんの車に乗り込んだ
「想像以上ね…さて、ついてこられるかしら(笑)」
「結構楽しんでる?」
「舌噛まない様にね」
「へ?」
驚いて横を見た途端、車が急発進して身体が前につんのめる
「おっと」
「しっかり掴まってなさいよ」
カーチェイスさながらの運転テクニックに、ただただジッとしてるしかなかった
「かなりの数まけたかな(笑)私もやるわね」
「あの、気持ち悪いっす…吐きそう」
「テメェ、車ん中で吐いたら、その窓から突き落とすからな」
「吐かないっす!大丈夫!」
こぇー
素の櫻木さんを見た…
ドスの効いた声
普段の声はどっから出してんだよ
別な意味でドキドキしたドライブが終わり、空港の駐車場にたどり着いた
「ほら、着いたわよ」
「櫻木さん、岬の前では素は出さないでください…ショック死しますから」
「相手によるわよー」
「なら良かった…」
ヘロヘロになりながら車を降りて、チケットカウンターへと向かった
そこにもやはり記事は居て…
「ko_siさん、どちらへ行かれるんですか?もしかして、恋人の所ですか?」
「一言お願いします」
「業界で仕事をする人間として、同性とって恥ずかしくないんですか?」
「仕事は、今後どうするんですか?」
「引退するって本当ですか?」
あぁ、ウザい
好き勝手言いやがって
チケットを受け取り、次は土産物店に入った
岬にお土産を物色する
どうせなら、料理に使えそうな物がいいか…
どうやら記者は店内には入って来ないようで、ゆっくりと買い物が出来た
「高志君て、我慢強いのね」
「ぶん殴ってやろうとは思いますよ。でも、岬が悲しむじゃないですか…だからしません」
「私、殴りそうになったわよ(笑)」
「櫻木さんは、やめてください。一応マネージャーなんですから」
「じゃあ、何か買ってくれたら我慢する」
「何が良いですか?」
「うーん…じゃあ、これ」
指差した先にあったのは…どデカイペンギンのぬいぐるみ
「これ、機内制限引っかかりますよ?」
「えー、マジで?じゃあ、小さいので我慢する」
「ペンギン好きなの?」
「いや、岬君?にお土産(笑)」
「あっ、じゃあこのデカイのにしてカウンターに預けよう」
「ちょっと、私のじゃないとわかった途端それ?」
「だって、岬のでしょ?」
「高志君が払っても、私からのお土産にするからね?」
「うん、いいっすよ(笑)しかし、高いっすね…諭吉3枚って」
「だって、フワッフワしてる。いい生地使ってるんじゃない?喜びそう」
「ま、買いますよ…買わせていただきます。預けるのは櫻木さんにお願いしますけどね」
「いいよーじゃあ、お買い上げで(笑)」
買った物を箱に詰めてもらい、カウンターへと預けた
一応業界人と言うことで、一般とは隔離された部屋へと通され、時間まで待つこととなった
「岬君には、行くこと伝えてあるの?」
「いや、言ってないよ。行って驚かせようと思って」
「それって、大丈夫なの?怒らない?」
「どうだろ?他のもぞろぞろ引き連れてだから怒られるかもね」
「そうよね…私も居るし」
「櫻木さん?岬は知ってるよ。俺のマネージャーだって、1度会いたいとも言ってたし」
「じゃあ、問題ないか…」
機内へと案内され、ビジネスクラスのシートに身体を預ける
記者も何人か乗り込んだようで、後ろの方から視線を感じる
気にしないようにして、ただジッと目を閉じた
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