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兄弟episode3.ノエル
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長い金髪に、太陽の光が反射して、キラキラと輝いている。
ゆっくりと起き上がり、服を着替えたこの男は今から、「イヴェール」と言う店に行く。何故ならそこには、この男の弟が働いているからだ。
「やっと……か…」
彼、ピエールは、腹違いの弟がいた。ピエールの家は金持ちで、規則もとても厳しかった。しかし、ピエールの父親が娼婦と浮気し、相手に子供まで作らせてしまったのだ。
何も知らないその弟とピエールは仲が良かったため、弟が追い出されたことを知り、その上売り飛ばされたことを知ると、ピエールは家を出て、一人暮らしを始めた。
事情を聞いた近くの宿屋の主人が住み込みで仕事をくれた。
そうやって、ピエールは弟を買い戻すため、仕事をしていた。そして今日、やっと、金が溜まり、イヴェールに行くことになった。
店に着き、ピエールは弟、ノエルを指名する。
「いらっしゃい、ピエールさん!来てくださったんですね!!!」
ノエルはピエールが兄だということを知らない。
知らずに、恋をしてしまっていた。
「ノエル、今日は、君をここから連れ出すために来たんだ。」
「え?……」
ノエルは喜んだ。しかし、この後のピエールの一言でノエルの心は崩れた。
「ノエル、君にはずっと黙っていたけれど、私たちは兄弟なんだ。」
「……え?……え?」
ノエルは、信じられないと言うように、固まった表情でゆっくりと首を振る。やがて目からは涙が滲み、泣き出してしまった。
「これからは、もう絶対にどこにも行かせないから」
ピエールはそう言ってノエルを抱きしめた。
「今まで、お世話になりました。」
「元気でね。ノエル。」
「うん、君もね、ミシェル。」
「ノエル、またね!」
「うん、またね、ティカ。」
別れを告げ、ピエールと共に車に乗り、家に向かう。
ノエルは車に乗ってから家まで、一度も笑わなかった。ピエールは心配して、何度も話しかけたが、ノエルは乾いた笑みを浮かべるだけだった。
「あのね、ピエー……兄さん、僕は…僕は兄さんのことが………好きだったんだ。…ずっと。それなのに………兄弟じゃあ、この想いは実らない……なんで?なんで僕たちは兄弟なの?」
溢れ出す涙を拭くこともせず、小さく震えながらノエル言った。
ピエールは、真剣な顔で、ノエルの方を向いていった。
「なぜ?…兄弟ではいけないのか?」
ノエルはその一言に大きく目を見開いた。
「何言ってるの!兄弟なんだよ!!ダメに決まって……んっ」
叫ぶノエルの口を、ピエールは強引に塞いだ。
「僕たちは…兄弟なのに」
そう、誰にともなくつぶやいたノエルに、ピエールは言う。
「兄弟だって、そこに愛があればいいじゃないか。それに、誰にもばれないし分からないからね…」
ピエールはそう言うと、再び優しくノエルに口付けた。
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