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好きな人がバレました
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「集合!」
結局シュート練の間中甲高い声は鳴り止まず、迷惑なことこの上なかった。
アイツは今も周りを囲まれ隔離されている。ざまぁ。そのまま捕まってろ。
「えー試合のチームは先生が勝手に決めておいたから」
先生が名前を呼んでいき五人一組のチームが作られる。学年がまぜこぜでそこそこ戦力もバランスよくなっていた。
だがしかし。僕と勇くんは別チームで、しかも1コートと2コートで分かれてしまった。
運がない…。応援すら出来ないなんて…。
さらに最悪な事は続くもので…。
「少しはマシになったか?」
「しーね☆」
つかつかと歩み寄ってきて上からものを言うアイツに笑顔で受け答えてやった。
そう、僕と同じチームにクソザルがいるんだ。
こんな奴とチームプレーとか出来るわけないじゃん。隙あらば転ばせてやりたいのに。
「バスケだりーな」
「それはこっちのセリフ。お前はキャーキャー騒がれてればいいだろ」
「へぇ、見てたんだ。妬いた?」
「あ?病院行けクソモデル。僕は勇くんと……ぁ…やべ」
近くに誰も居ないからって、クソモデルに吊られて素で話していた僕は、やらかしてしまった。
「勇くん?誰だそれ?」
勇くんの名を出してしまったと後悔しても遅く、奴は怪訝そうに眉を吊り上げて、明らかに不機嫌そうな声で突っ込んできた。
「おい、答えろ」
答えられずにいる僕に痺れを切らしたクソモデルは、周りの目なんか気にせず僕の腕を掴んできた。
「離せ」
「なら、答えろ」
「やだ」
「じゃあ、この場でキスの一つでもくれてやるか?」
「フッんなこと、出来ないくせに」
脅しのつもりか知らないが、そんな現実味のないことで僕に吐かせようとか嘗めてんの?
クソモデルが体育の時間にキスなんかしてたら、学校中が大騒ぎになるっての。
そんなハイリスクノーリターンなことする馬鹿がどこにいる?
ぷぷー。
「後悔しても知らねぇぞ?」
「しまてぇーん」
やれるもんならやってみろ!
クソモデルを煽るように鼻で笑い、わざと唇を突き出してやる。
あーさっき付けたリップクリーム取れちゃってるかも。ポケットに入れとけばよかった。
とか、余裕ぶっこいて別の所に意識が飛んでいた僕の肩にでかい角張った男らしい手が乗せられた。
ん?あ?
手の先を辿ると目の前に迫るクソモデル。
ちょっちょっちょーーー!!??
「なっ…お前っ!?正気か?」
「あぁもちろん。逃げんなよ」
後退ろうとしたけど、しっかりと両手で捕まえられた。
に、逃げられん!
「ちょっと待てッ…マジか!?落ち着け!」
「俺は落ち着いてる。キスするって言っただろ」
「ひぃー!待って頼むから!」
どんどん迫ってくる顔。
咄嗟に自分の口を両手で隠した。
「言うか、キスされるか…どっちがいい?」
「い、言うから!離れろ!」
こいつ目が本気だった…。ありえねぇだろ!本気で頭イッてる。
キスなんて3度目はないぞ!
「嘘ついたら、犯す」
「分かったから!」
僕達の近過ぎる距離に試合を見ていた奴らがざわつき始めていた。
肩から手を離され、急いで人1人分距離をとる。
言いたくないけど……あ、でも!僕に好きな人がいるって知ったら、諦めるんじゃないか?
僕で遊んでるみたいだけど、落とせないって分かったら別の奴にターゲットを移すのが普通だよな?
じゃあ別に意地張らなくていっか。
「……僕の好きな人」
「あっそ。サッカー部の2年だろ」
………って、おいっ!
聞き出しておいてあっそって…つか、お前最初から知ってただろ。知ってて言わせたとか、性格歪みすぎだろ。
は?諦めるんじゃないのか?知ってて僕で遊んでるのか?…シネ!
「あんなのが好きなのかよ」
興味無さげに隣のコートにいる勇くんを見ながらポツリと呟く。
あまりにも失礼な物言いにカチンと来る。
「馬鹿にすんな。勇くんはお前みたいなクソ野郎とは大違いなんだよ。かっこよくて、優しくて、スポーツ出来て、キラキラ輝いてる王子様みたいな…」
「あいつは碌でもないって」
今も尚輝いている勇くんに対して隣の男は…全く他に言うことないんですか?
あぁ…てか、アレか。自分よりかっこいい人間がいることを許せない奴か。はん!
「負け惜しみか。かっこ悪い」
「騙されてるって言ってんだよ。俺やお前みたいなもんだよ。あれは同種だ」
「は?騙されねぇぞ。ぶぁか!誰でも彼でも腹黒だと思うな」
首を180度瞬時に回転させ、聞き捨てならない言葉を吐いたクソザルを睨み威嚇する。
そうやってまで自分が1番だと思わせたいのか!?碌でもないのはお前だ!
こんな腹黒他にいないって。勇くんは好青年だボケェ。
「ホント性格悪いな」
「お前も人の事言えるのか?」
「言える」
「あっそ。兎に角アイツは止めて俺にしろ」
「くたばれ」
丁度試合が終了し僕のチームの番が回って来た。
腹黒野郎を置いてさっさとコートに整列した。
試合中に恥かかせる…!
そう心に誓いバスケの試合が始まった。
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