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敦と先輩
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先輩の背中で大人しく運ばれたはいいけど、僕の部屋って3階だっけ…?2階だった気がするんだけど、僕の記憶がおかしいのか?
疑問を胸に抱きつつ、先輩が奥の角部屋の前で立ち止まりノックをする。
「はーい。あ、泪!大丈夫か?」
「うん平気だよ」
扉を開けた敦は遥海先輩を見ても驚かず、その背中に乗っている僕に対しても同様にツッコミを入れず、ただ部屋に通してくれた。
…?敦には先輩が知らせてくれてたのかな?同室者だし。
「とりあえず言われた通りにしときましたからね」
敦が部屋に入るなり先輩に向かってそう言った。
「あぁ悪いな」
「本当にそう思ってます?」
「思ってない」
「さっすがー!期待を裏切らないですね」
くつくつと笑い、ずれた眼鏡を直し、リビングから通じる二つの部屋のうち手前に手をかけた。
…なんだろう。この違和感。
僕達の部屋…こんなに片付いていたっけ?机の上にサボテンなんか置いてたっけ?
でも、隙間から見えた僕の部屋はいつも通り。机の横にある物置スペースには美容グッズがずらりと陳列して……。
「だっダメです!!」
「どうした急に?」
「せ、先輩は進入禁止ですっ!!」
先輩が部屋に入るのを阻止しようと暴れるが、頭がちょっと痛くなった。
いやいや、でも阻止しなくてはっ!
僕の部屋は絶対見られたくない!!
「何で?」
「何でもです!敦!ドア閉めて!ぼ、僕、敦の部屋で寝ます!」
僕の部屋には美容グッズやら、ダイエット本、女性誌、恋愛心理学の本…とかそういった物が沢山詰まっているから絶対見られたくない!!
僕の剣幕に敦と先輩が目を合わせ、そして先輩は敦の部屋に僕を通してくれた。
ゆっくりとベットの上に下ろされる。
「ふえー」
モゾモゾとベットに潜り込み、横になると心地いい眠気が襲ってくる。
なんとなくする香りが敦の臭いと違って…、そう、遥海先輩の臭いに近かったけどいい匂いだし…眠い。
「それじゃあ先輩、任せましたよ。それと、あの話忘れないでくださいね」
「分かってる」
「それでは頑張ってくださーい」
ヒラヒラと手を振って部屋から出ていった敦。
あれ?敦どこ行くんだろ…?
まぁいっか。柚瑠のとこかな。
今は休憩したいし…遥海先輩いるし…。
あーでも先輩いるのに寝るのも…寝顔見られるの嫌だな…。
ん?保健室で既に見られてたっけ?
ならいいかな、寝ても。
「先輩?…寝てもいいですか?」
「あぁ。ゆっくり休め」
また、あの手で頭を撫でてくれる。
痛い所を撫でられたら痛いのが飛んでいくっていうのも、あながち間違いじゃなかったのかも。
その手が心地よくて、僕は自然と意識の底に沈んでいった。
「大人しくて可愛いけど…物足りない。早く思い出せよ」
先輩がそんなこと…言った気がした。
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