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扱い易い─遥海side
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「天野くん大丈夫?驚いたよね」
「ぁ……はぃ…。あの、泪……」
「どうやら、倒れたことで記憶が混乱してるみたいなんだ。それできっとあんな風に取り乱してしまったんだね」
「そうだったんですね…」
神妙な面持ちで天野は頷き暗い顔をした。この感じだと俺の言ったことを信じたみたいだな。むしろ、表の泪しか知らない天野には、この理由以外他にいつもは優しくて可愛らしい奴があんだけ豹変する理由が見当たらないだろう。
「それに…泪は照れ屋だから」
照れ隠しにあんだけ暴れるじゃじゃ馬なんていないだろうけど、天野になら通用する。
その証拠に、俺が少し困った笑顔を浮かべたら天野は瞳をパチパチと瞬かせた。
「ふぇっ…それって…あの、泪と遥海先輩は…その…」
ほら、簡単に引っかかった。
「まだ付き合ってないよ。でも俺は本気で落とそうとしてる」
俺の得意の顔、角度、少し囁くような低音で、天野を完全に引き込む。
隣の敦でさえ俺に見とれるほどの魅力を前面に出す。
好きな人のことを想ったら、誰しもかっこよく、可愛くなる…っていう原理を利用してるわけだ。
でもこのまま押すだけじゃ、押しが足りない。
俺はフッと瞳を下げた。
「泪の中で今、俺とのことはデリケートな問題になっるんだと思うんだ。俺のこと好きかどうか」
俺の憂いた表情に天野が息を呑む。
「だから、俺と泪のことは秘密にしておいてほしいんだ」
天野は深刻そうに頷いた。その目は完全に俺に囚われている。
「2人とも泪のこと支えてあげて」
これがトドメだ。天野は瞳をウルウルとさせ「任せてください」と口にした。
あぁ…完璧だ。外堀はこれで問題ない。天野は完全に俺の味方になった。
協力してほしいなんて言わない。そんなこと言わない方が効果がある。天野が自分で考えて行動するから意味がある。
どうやら俺は本当に性格が悪いらしい。泪の『親友』を利用するんだからな。泪の知らぬ間にことを進める。気がついた時にはもう遅い。
お前は俺のモノになってるよ。
天野に対して見せた姿は全部演技だ。じゃあ『本気』なのかって?
…そりゃ、ここまでするほどには『本気』だ。
意地になっている部分もあるかもしれない。けど、ここまで来たんだ。絶対に手に入れてやる。
──遥海side end
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