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心
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「泣き虫な気分なのか?」
「バカにっ…すんな!」
「バカにしてない」
「してるだろ!」
僕がどんなに突っかかったとしても、遥海は軽く遇って怒ることはないだろう。
「本当だって」
「絶対嘘だ!バカじゃなくても他になんか思ってるだろ!!」
だって遥海は僕が何を言っても笑いながら、目を逸らしてこないから。心の奥を見透かされていそうな深い瞳で僕を捉えて離さない。
「何か言えよ!」
「…そうだな。思ってる」
うーんと少し考えた遥海はそう言った。
ほら見ろと、遥海の足を蹴って非難するけど変わらず綺麗な顔を近づけて僕の鼻の頭にキスしてからゆっくり、言い聞かせるように言葉を紡ぐ。
「好きだと思ってる」
改めて、しかも朝から直球を投げつけられて僕の心は大きく跳ねる。
ドキドキして、苦しいのに落ち着く…。
「可愛いと思ってるし、愛おしいとも思ってるし、昨日泪と触れ合えて嬉しいとも思ってる」
次々と僕を取り囲む言葉達と甘いチョコレートより甘ったるい雰囲気は僕のことを骨抜きにしてしまう。
「でも一番は、お前が好きって言ってくれたことかな。それが嬉しくてたまんない」
ゴロンと僕を腕の中に閉じ込めたまま仰向けに寝転がり、遥海の身体の上に乗せられた。
「ちょ…下ろして…」
「いやだ。…もう絶対放さない」
少し重たいセリフでも、ドキドキが加速して嬉しいと捉えてしまう。
そう...どんなことでも心の奥では嬉しいって思ってる。
昨日のことだって...否定したいけど否定したくない。
流されただけじゃない。ちゃんとあの時から気持ちはあったんだ。
認めるのが怖かったけど、もう大丈夫。
遥海に心臓の音が聞こえませんように。
嬉しさと恥ずかしさで緩んでしまう顔を遥海の胸に埋めて隠すと、遥海の心臓の音がよく聞こえた。
心做しかちょっと早い鼓動に、僕の鼓動もリンクする。
「泪」
耳に優しい低音の声。これから先、きっと誰とも間違わない。
「俺と付き合ってくれますか?」
僕の心はもう決まっている。
あの時応えられなかった返事を今。
「………はい!」
遥海になら全てを託せる。
僕の全部を受け取ってください。
大嫌いだけど、大好きです。
僕はこんなに幸せな朝を一生忘れない。
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