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闇鍋─遥海side
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グツグツ煮えたぎる鍋を囲む男3人。
そして、俺と幸太は目の前にある鍋の中を覗いては自分の目を擦り二度見を繰り返していた。
「ふ、2人とも…どうかした?」
お玉で掬った具材を皿によそって、その口に頬張る達也は俺たちに恐る恐る声をかけてきた。
早く食べないのか?自分だけ食べているのは申し訳ない。
そんなことを思っているのだろう。
見当違いなことを思っている達也に幸太がついに問いかけた。
「えーと達也くん?」
「どうかした?」
「これって鍋だよね?」
「うん。鍋」
当たり前のことを聞かれて達也はキョトンと目を丸くした。
それを見て俺と幸太は大きくため息をつく。
「じゃあ……何鍋?」
「……。」
幸太が指を差したのは達也の皿の中。
豆腐、鶏肉、大根、ゴボウ、ネギ。
そして、ブロッコリー、ちくわ、バナナ、ジャガイモ、梅干しetc……。
更に言えば鍋の中にはまだ未知の物体が浮かび汁は不気味な色合い。
「………。」
「………。」
達也の返答を固唾を飲んで待ち構える幸太を嘲笑うかのように、達也はパクリと梅干しを食べた。
「美味しいよ?」
…って、いやいや!違うだろ!
そういう事じゃない!
梅干しの次にバナナを食べてニッコリ笑う達也に幸太は頭を抱えて「ダメだこりゃ」と諦めたみたいだ。
コイツもコイツで天然に磨きがかかっていたこと忘れてた…。
「こういうの闇鍋って言うよねぇ…」
「確かに」
「他に何入ってるのか怖〜」
天然の域を脱している恐怖の闇鍋に果敢に挑み始めた幸太。
がばってお玉に具材を掬い皿に盛ってから、顔を盛大にしかめた。
「……人生最大の難関かも」
その発言には激しく同意したい。
こうして俺たち2人は鍋地獄に付き合わされるハメになった。
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