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公園の人影──遥海side
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幸太の言う事を無視して自室に帰ることをしない俺は、多少なりとも図星を突かれたからだろう。
考え過ぎて負のスパイラル…。
否めない。
泪のこととなると今まで知らなかった自分が出てくるから、本当に困る。
抑える方法も知らなければ、受け入れるのもムシャクシャする。
これが世にいう情緒不安定ってものか?
でも付き合い始めってのはもっと盛り上がる感じじゃないのか?不安定になるのは3ヶ月頃ってよく言うだろ。
もしかしたら俺は年中不安定男だったのかもしれない。
「うわ…引くわ」
夜道の暗がりでの独り言。
これじゃあ情緒不安定を通り越して変質者だ。
徒歩5分程度のコンビニにたどり着き幸太お望みのガリガリくんと、達也と俺に雪見だいふくを購入した。
なんとなく、ガリガリくんより値段の高いものにしたかっただけだ。…なんとなく。
アイツらの部屋に戻ってガリガリくんを顔面に投げつけるとするか。
どうでもいいイメトレをしつつ、公園に差し掛かる。
公園の外を回るより、中を通れば若干のショートカットになる。
薄暗く静かなそこに足を踏み入れ歩く俺の視界の端に映りこんだ影。
公園の隅、大きな木の根本にひっそりと佇むベンチに行きはいなかった人影があった。
恋人同士だろうか、肩をピッタリと寄せ合い仲良さそうに座っている。
こんな夜にお熱いことで。
青姦とか止めてくれよ。
今の俺の状況と全く違う知らないそいつらに冷たい視線を投げつけてみる。
勿論そいつらは俺の存在に気が付きなんかしない。
お互いに夢中なんだろ…クソ。
見たくもないけどなんとなく観察するしていると、頭一つ分大きい方の奴が不意にもう片方の奴の方を向き手を頬に伸ばした。
あ…キスする。
通りすがりに他人のキスシーンとか、いらねぇ。
そう思って目を逸らすより先に車が1台公園の横を通り、明るいライトがそのふたりを照らし出す。
眩しさの中浮かび上がった二人の姿が目に焼き付き、俺の足をその場に固めた。
ヒュッ…と息が止まり、その瞬間俺の手からアイスが滑り落ちていた。
──遥海side end
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