アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
帰宅途中で
-
「じゃあ俺はここでバイバイするな!」
ファミレスを後にして、帰路についていた僕ら。
全員寮に帰るのだから道は一緒のはずなのに、何故か咲は別れ道の別の方向を指さす。
「寮はこっちだろ?」
3人の思いを代弁して前田くんが聞くと
「そうだけど、学校に忘れ物しちゃったのさっき思い出しだんだ。明日までの提出物だからどうしても取りに行かないといけないんだよ…はぁ」
咲はズーンと沈む気持ちが身体に現れ頭を垂れた。
「結構夜遅いから、俺も付いていくよ」
「え!いいの!?」
前田くんからの申し出に咲はぴょんと飛び跳ねた。
確かにこんな夜に咲みたいな子(中学生的な)が一人で歩くのは危険だ。
その点前田くんみたいな大きい人がいればかなり安心できる。
「おっけー。二人共気をつけろよ」
「バイバイ。今日は楽しかったね、また明日」
前田くんと咲に手を振り僕達は寮へと向かう道に進んだ。
ところが僕はここに来てミスを犯したと気がついた。
もっと早く気がついておけば回避できたのに…。
寮までの帰路、僕は勇くんと2人っきりでこの人気のないよ道を進まないといけないんだ。
いや、やましい事なんかないし起こらないし、別にいいけど、やっぱり良くなくて、なんとなく二人っきりは抵抗がある。
うわ…早く帰らないと!
歩みを早めて寮へ急ぐものの
「泪歩くの早いってー」と言いながら勇くんに僕の腕の袖を掴まれてペースを合わせられた。
早く帰りたいけど、勇くんを置いて帰るのもアレだよね…ぅぅ。
とりあえず掴まれたままだった袖を離してもらい、勇くんの隣を歩く。
「あ、そう言えば」
「ん?」
「泪って部屋どこになったんだ?」
「へっ!」
不意を突かれた質問にドキリと心臓が跳ねた。
驚く僕の顔を不思議そうに見つめながら勇くんは続ける。
「敦と同室だったのに、今アイツ1人だから泪はどこに移動したのかなって気になって。誰に聞いても知らないって言うから、もしかして家庭の事情で寮を出たのかなぁとか思ったり?」
「あ…あー、んー寮を出てはないよ?」
まさかここで部屋のことを聞かれるなんて…。
焦りで上手く誤魔化せず、噛み噛みの僕。
だって勇くんが僕の事で聞いてきたことなんてないし!!気にしてるとも思ってなかったし!!
「どういうこと??」
勿論納得しない勇くんは更に踏み込んでくる。
僕はモゴモゴ口を動かしながら、最終手段を取った。
「えーと…あの、秘密!!」
どっかのアイドルがやりそうな可愛げのあるイタズラな笑顔とウインクで決めてみる。
可愛い僕だから出来る技であって、その効果は抜群?だったのか勇くんはそれ以上聞いては来なかった。
ふぅ…。
危機を脱して一気に脱力。
あとどんぐらいで着くんですかー…こんなに長かったっけ??
何でこんなに疲れないといけないの?
勇くんとの微妙な心の距離がヤケに疲労に繋がる。
僕の考え過ぎ…っていうか気にし過ぎ…だよねぇ。勇くんは何も悪くないもんね。
そもそも勇くんは天然だったから何も考えt…
「泪」
「ふげっ!?」
なっ何!!??
急にぐっと引き寄せられた肩。自分の世界に入っていた僕はそのまま彼の胸に吸い込まれてポスンと着地した。
肩に乗る大きくてゴツゴツした手、目と鼻の先にあるイケメンフェイス。
吸い込まれた胸は筋肉質で、僕とは違う男らしい感触。
「っい…勇くん…あの、え…?」
彼の鼓動を直に感じて、頭が真っ白になる。
道の真ん中で突然抱きしめられたら誰だって混乱する。
しかもそれが勇くんであるのだから尚更。
いや、いやいや…待って…えーと
「ちょっと…」
「大丈夫?」
「………ん??」
顔を上げて確認した彼の口から飛び出した大丈夫というセリフ。
咄嗟に意味が把握出来なかった。
大丈夫…?
「え?」
「自転車来てたの気がついてなかっただろ?」
「じ、自転…車?」
慌てて顔を前に向けると通り過ぎたであろう自転車が角を曲がって行った。
…なんだぁ……自転車なよ…焦った…まじで。
はぁ…とまた緊張から解き放たれた僕は力が抜けてふにゃふにゃになっていた。
でもそれが彼を心配させてしまったみたいで。
「大丈夫か?やっぱり風邪治ってなかったんじゃないか??」
「全然平気だよ?」
「…ダメ。ちょっと公園で休憩していこう?」
勇くんは僕の目をのぞき込み、眉根を下げた。
だからっ近いって!!!
イケメンの眼差しに弱い僕は、意味を理解する前にブンブン頷いて彼に手を引かれるまま近くにあった公園に入った。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
77 / 123