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斎之内 遥海の攻撃
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「あの!は、離して下さい!」
本当は離せクソザルって言いたいけど…
あーもーこういう時まで気にしないとダメかな!?
今いるのこいつだけだし、殴っていいかな?暴れていいかな?
「ごめん、驚かせちゃったかな」
「こんなくっつかなくても、濡れませんよ?」
先輩はそう言いながらも、手を離してくれない。
おい、離せ!驚くの次元を超えたっての!誰でもその爽やか笑顔でイチコロに出来ると思うなよ!
「恥ずかしがってるの?可愛いね」
「………。」
離れようともがく僕に向けて、先輩から発せられた言葉はとんでもない勘違いをしていた。
いや、もしかしたら知っててわざと言ったのかもしれない。
だけどそのトンチンカンなセリフに気を取られ力が抜けた一瞬の隙を付かれてしまった。
「んっ!?」
それはあまりにも唐突な出来事。
これが恥ずかしがっているように見えるなら眼科に行け、という気持ちを込めて顔を上げた瞬間、僕の唇に柔らかいモノが触れた。
柔らかくて暖かい感じたことのないもの──
「っやめ!!」
僕は懇親の力を込めて先輩の胸を押し、何とか離れることに成功した。
雨が僕に降り注ぐことなんか、気にもならない。
なんでっ!はっ!?
僕…アイツに…キスされたっ!キス…キ……
自然と目頭が熱くなり、視界が歪んでゆく。
好きでもない男に、勇くんじゃない奴に、僕のッ…僕の大事なファーストキスが奪われたっ…
その事実はトンカチで頭を殴られたぐらいの衝撃として僕に襲いかかる。
認めたくないっ…こんなのっ!!
何で…
「泪くん?」
俯き固まる僕に向って不思議そうな声が発せられる。
そいつは呑気にも僕に近づき顔を覗きこもうと、僕の頬に手を伸ばしてきた。
パチンッ!!
「…触るな」
その手を思い切り叩き落とし、ぎゅっと右手を握りしめた。
そして…我慢の限界を超えた。
「え?泪く──痛ッ!!!」
「うるせぇふざけんな!このクソザル!勝手にキスなんかしやがって僕のファーストキスをどうしてくれるんだ!!2度とその面見せんじゃねぇ!」
腹にその拳をねじ込んみ、地面にソイツを突き飛ばし、僕は寮までの道のりをただひたすらに走った。
泥が跳ねることも息が切れることも気にせずに。
何度拭っても消えない唇の感触に涙を流しながら。
収まることのない怒りと共に。
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