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同室者
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「はぁ…はぁ…はぁ…」
寮の自室に駆け込み、僕はその場に立ち尽くしていた。
「おかえりー。遅かった…っ!?泪!?おい!どうした!?」
いつまでもリビングに上がってこない僕を不審に思い、様子を見に来た同室者の奴が焦って駆け寄って来る。
「こんなにグシャグシャで…ほら、中に…」
「ヒック…敦ぃぃぃ!!!ふざけんなあのモデル野郎ぉぉぉ!!」
「!?落ち着けって…ここだと外に聞こえるぞ?」
「キモ!キモ!ありえないぃぃぃうわぁぁぁん!!!」
敦は動かない僕を見かねて一旦中に入るとバスタオルを手に戻ってきた。
そして、わしゃわしゃと犬を拭くように僕の頭を拭いていく。
頭の次は体もざっと拭かれる。
その間も僕はずっと泣きながらクソザルの悪口を羅列していた。
「やっと落ち着いたか」
数十分後。ようやく僕の涙が収まり、冷静さを取り戻した。
冷静になった所で、怒りは収まってないけど。
とりあえず着替えを済ませ、今敦と2人ソファーに腰掛けている。
秋田 敦(アキタ アツシ)は高校1年生の時同じクラスになり、同じ部屋となった同室者。
そして僕の腹黒さを知っている唯一の人間。
彼とはギブ・アンド・テイクの関係で、僕の好きな勇くんと仲がよく協力してもらっている。逆に敦の好きな柚瑠との恋を協力している。
敦は黒縁眼鏡のインテリ系で、運動は苦手だが勉強はとても得意。少し残念なところはヘタレであることだ。
「さーて、泪がそこまで取り乱す事態って何?モデル野郎ってことは斎之内遥海か?」
敦がココアの入ったマグカップを渡してくれた。
それを一口飲んでから、説明する。
「あのクソモデルが、僕の…ファーストキスを奪ったんだ!あ゛ー今考えただけでも腹立つ…気色悪い!」
「うわぁ…マジかよ。それはドン引きだわ。え、突然?告白とかは?」
唇をゴシゴシ擦る僕と、嫌そうな顔をする敦。
僕は敦に全てを話た。
もちろん、暴言を吐いて腹パンしたことも。
「さすがの泪でも本性が出たか…」
「仕方ないだろ!」
「でも、それ大丈夫なのか?泪の性格の悪さを言いふらされるとか無いの?」
ウッ…痛いところをついてくる。
そうなんだよ。キスも問題だけど、そこも問題なんだよ!
僕の口の悪さとか(性格の悪さは認めない)をバラされて、それが勇くんの耳に入ったら…死ぬぅ。
「…ヤバイ」
「あーでも、ほら!他の奴信じるかな?お前の猫被りは完璧だからなぁ。モデル野郎がいくら言っても信じられなくね」
「た、確かに。僕が普段通り過してれば問題ない…かな?」
「んーお前の本性がバレる心配は無くなるかもしれないけど、問題はモデル野郎がまた接触してくる可能性があるって方かもな」
なっ!モデル野郎が接触してくるぅ!?
無理無理無理、視界に入れただけで吐くかもしれない。
逃げる。全力で逃げる!それかぶっ飛ばす。
「まぁ様子見た方が良さそうだな。気をつけろよ」
「へいへーい」
「あと、モデル野郎がいても周りに人がいる事をお忘れなく」
「分かってる。周りを味方につける」
敦はポンポンと僕の頭を撫でてから、自室に入っていった。
あー気持ち悪い。あ、敦じゃないよ。
あんなクソモデル野郎2度と会わない。
そう決意して、僕の1日が終わった。
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