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凪いだ風の交差点(煙熱)
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「なぁ、」
えんちゃんのこの低すぎない甘い声。
俺はどっかの少女漫画の主人公のようにきゅんと胸を弾ませる。
「んー?」
毎回そうだけど、平常心を保ちながら返事するだけで結構大変だ。
「今日、お前暇?」
「まぁ用事はないけど」
「…じゃあ、さ。
俺ん家泊まりにこねぇ?」
「えぇ!?」
うわ、大声出しちゃった……
突然のことに頭が追いつかない。
平常心、平常心、平常心だぞ…いつもどおりに………
「…ダメだった?」
「い、いや、違うんだ。
もちろん大丈夫なんだけど…」
俺、なにオッケーしちゃってるんだよ!?
「その、なんで、急に…?」
「いや、今日親が突然帰って来ないことになったんだけどさ。飯勝手に作って食え…って言われたけどめんどくさくって。」
「それで、俺に作ってほしいって?」
「アツシの料理うまいし。」
「…褒めたってどうせカレーだぞ」
「アツシの作るカレー、俺すげぇ好きなんで問題ないでーす。」
好き…………
いや、カレーのことだから、俺のことじゃないから…!!!
もう、本当に俺らしくもない………
えんちゃんへのこの気持ちに気づいてから、今までどうえんちゃんと接して来たのかが本当に分からなくなっていて…
前はえんちゃんの家に行くことだって普通のことだった。
でも、変に意識しちゃってる今、家に行くってことがこんなにも試練として受け入れられてる。
「じゃあ、学校終わったらアツシん家寄って荷物持ってきて、その後スーパーで買い物して俺ん家な?」
「分かった。放課後までにスーパーで買うもの考えなきゃ。」
「なんか、今の主婦みてぇだよな」
「え?」
「いや、2人で買いに行くんだから新婚カップルか?」
「え、ちょ「なんですか?先輩たち、とうとう結婚したんですか?」」
俺に被せるように後ろから声がする。
「立!硫黄も…おはよう」
「おはようございます」
「日本では男同士じゃ、結婚できねーって。
まぁ、アツシのことは嫁にほしいけど。」
「うわ、今のプロポーズですか?!」
「プロポーズするときは、もっとちゃんと言う男だ、俺は。」
「立もえんちゃんも適当なこと言ってないで、ほら学校行くよ」
また、立とふざけてこんなこと言って。
俺がこの言葉たちにどれだけ振り回されてると思ってるのか…
…こういう時のえんちゃんは、嫌いだ。
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