アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
忘れたい
-
しばらく混乱している俺を嘲笑うかのようにスマホの通知音が鳴る。
『猫ちゃん大丈夫だった?そろそろ家行ってもいい?』
スマホに目をやると遥輝からLINEが来ていた。
猫ね………
本当に図々しいくらい元気にやってるよ、うん。
まあこんな猫が人間になっただの、魔法がどうのだの真実を言ったところできっと信じられないだろうし、馬鹿にされるんだろうな。
昨日は必死になって助けたけど、果たして意味があったのか………それすらもわからない。
LINEがくるまですっかり忘れていたが、そういえば今日は遥輝とテレビでサッカー観戦をする予定だったな。
確か美味しいお酒とおつまみを買い込んでくるって意気込んでたっけ。
そうこうしているうちに、ピンポーンとインターフォンが鳴る。
「雅人、来ちゃった!」
「来ちゃったじゃねーよ、お前が言っても可愛くない」
「相変わらず釣れないねえ」
ズカズカと人様の家に上がり込んで早々つまらなさそうな顔をする。
問題の猫はというと、すっかり昨日と同じ可愛らしい猫に変身していやがった。
やっぱりそうなのか?
俺が幻覚を見ているとかそういうのじゃなくて?
「ちょ、雅人大丈夫?弱いくせにそんなに飲んだら………」
「い、いいんだよぉ、これくやいどうってことないってばぁ」
「ほんと今日飲み過ぎ。何かあった?」
流石は幼なじみ、すかさず遥輝は心配そうに、俺の真っ赤になった顔を覗き込む。
応援していたサッカーチームが勝って、勢い良く飲んでしまった、と思いたい。
だが、きっとそうじゃない。
自分が理解しがたい状況におかれて、お酒を飲んで気を紛らわしたいんだろう…薄れつつある理性がそう自己分析し出す。
「お前にはきっとわかんねえよ…ほんと馬鹿みたい」
「何だよそれ、まず言ってくれなきゃわからねえだろ」
きっと言ったところで馬鹿にされる。
猫が人間に変身するとか有り得ねえもん、普通頭おかしいやつって思われるだろ。
今だに混乱している俺をみて、遥輝の膝元で横になっていた猫が薄っすら笑っているように思える。
こいつのことで混乱している自分に徐々に腹が立ってきて、俺は話題の方向転換をすることにした。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
4 / 9