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自分の体温で適度に温まった布団の中は居心地抜群だった。
この時期は朝方冷え込むので、浅い夢を見ながらぬくぬく布団の中でいるのが俺の定番。
そろそろお昼頃かな、と起き上がろうとした際、隣の違和感に気付くのはそう遅くはなかった。
「………は?!誰………?!!」
俺の胸に顔を埋めて気持ち良く寝息を立てているやつがいる。
艶のあるブロンドに長くカールした睫毛、肌は陶器のように白く透き通っている。
思わず見惚れてしまいそうな顔立ちであった。
「何だよ朝っぱらから煩いなぁ…もうちょっと寝らせてよ……」
綺麗な顔を歪めてまた布団を被り出す。
ちょ、ちょっと待て。落ち着け。
俺はちゃんと服を着てる、よし。
酔った勢いでやってしまったとかそういう朝チュンオチじゃないよな。
そもそも飲み会なんてしてねえし。
確か昨日は遥輝と一緒にバイトから帰る途中、猫を拾って……
「あれ、雨がいない……?」
「あ〜…昨日はありがとう。ほんと寒くて凍え死ぬかと思ったよ〜」
「……………………は?」
信じられない一言に、自分の耳を疑った。
俺が昨日大雨の中助けたのは人間ではなく猫なのだ。
しかし、その猫が居なくなって、代わりに知らないやつが全裸で隣に寝てたわけで…流石に寝起きの頭で考えたところで混乱するだけであった。
「も〜鈍いな〜わからない?」
「いや、だって、そんなわけ…」
「実はそんな夢みたいなことがあるんだな♪僕、人間の姿に変身できるんだ〜」
そんな馬鹿なことがあるわけない。
この20年間ファンタジーな経験もホラー体験もしたことがないのに、突然こんな非現実突きつけられて。
だが、奴が被っていた布団を勢い良くひっぺ剥がしてやると、猫みたいな耳と尻尾が生えている。
美しい顔立ちに華奢な体格だったので少々期待してしまっていたが、残念なことに男とみた。
「まじかよ…え、」
「ん?これがそんなに珍しい?本物だよ〜特別に触らせてあげよっか?」
フフンとやつは耳と尻尾を得意げに動かし始め、俺の手を持ってこうとする。
う、嘘だろ、生き物みたいに動いていやがる。
「い、いいってそんな趣味はない……取り敢えず服を着ろ」
「あははっごめん君には刺激が強かったかな〜?お言葉に甘えてちょっとばかし服借りちゃうよ」
にゃははーんと笑い勝手にクローゼットを漁り出す。
当の俺は軽く放心状態だ。
こんなことが現実に起きるなんて未だに信じられない、夢でも見ているかのような感覚だった。
「そういえば僕に名前をつけてくれたね?雨って名前気にいっちゃった〜」
「どうも。あの可愛い雨が、こんな猫耳変態クソ野郎だとは思ってもみなかったよ…」
「ひどいな〜まっこれで契約成立だね」
「ん、ちょっと待て。契約ってなんだよ」
「名付けてくれた代わりに僕のと〜〜っても素敵な魔法が使えるってやつ〜どう、魅力的でしょ?」
「は?」
こいつ人間に変身する上に魔法だと?しかも名付けた代わりに?………益々意味わかんねえ。
魔法なんて物凄く現実離れしている。二次元世界のもんだろ。小さい頃は使えたらいいなあと憧れていたけれど、こいつが言うと何だか悪い予感しかしないんだが。
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