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二日酔い
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「おぇ、気持ち悪い…………たった2人の宅飲みで吐くまで飲むとか信じらんねえ」
「ほーらやっぱ飲み過ぎた。二日酔い大丈夫?」
「全然大丈夫じゃねえよ………
そういえば俺、昨日変なこと口走ってなかった?」
雨を撫でる遥輝の手が少し止まったように見えた。
まさか俺酔っ払ってこの猫が人間に変身しただの魔法がどうだの言ったんじゃないのか…?
サッカーの試合を観終わってから全くもって記憶がない。あるのは吐き気と倦怠感だけで。
「いや、俺のことかっこいいって褒めてくれてすぐ寝ちゃってたよ?もう、遠慮なく素面の時も言ってくれたらいいのにー」
「なんだそれ、嘘つくのも大概にしろ」
ニヤニヤしながら擦り寄ってくる遥輝を片手で引き離す。なんだ、良かった。結局言ってなかったわけね。
全身から噴き出していた嫌な汗がさっと引いていくのを感じた。
引き離されてつまらなさそうにしていた遥輝が、何か思い出したかのようにゴソゴソと荷物を漁り出す。
「そういやあ雅人が寝てる間にコンビニで二日酔いの薬とポカリ買ってきたん。ほれこれ飲んどき」
「おーまじでさんきゅー…ちょっとだるいし昼まで寝てるわ……」
「ほーいじゃあ俺帰るわ。ゆっくりねー」
「うい」
友人の優しさに感謝しながら薬を口に放り込みゆっくり布団の中に潜る。
起きた頃にはこの二日酔い治ってたらいいな、俺は再び夢の中へ戻ることにした。
煩いアラーム音に無理矢理起こされて、目玉がごろごろしているような感覚だった。
薬のおかげか二日酔いもすっかり良くなっていた。
一旦シャワーを浴びようとむくりと起き上がる。
するとクスクスと笑うやつの声が響いた。
「僕のこと気にして飲み過ぎちゃう雅人、ほんと可愛かったな〜」
「は、ちげーよ…自意識過剰か」
「はは、よく言われる〜あのお友達は大層喜んでたねえ〜おかげで面白いものも見れたし本当楽しかったなぁ」
「面白いもの?」
「酔っ払い雅人のこと♡」
雨は意味ありげな含み笑いをする。
てか何で俺は元気になったこいつをまだ家に置いているんだろうか。
可愛い猫ならまだしもこんな猫耳野郎だなんて。
「てか元気になったんならはよ家出てけ」
「ひどいな〜もう雅人は僕の立派なご主人様なのに」
「こんな猫耳野郎だと思わなかったわ」
「………僕のこと、捨てるの…?」
雨は突然か細い声を出し、綺麗な青い瞳で真っ直ぐ俺を見つめる。奴が悲しそうな表情を浮かべるのは初めてだった。
ゴクリ、と一瞬の沈黙の中喉の鳴る音だけが響く。
「〜〜〜〜っわかったよ!暫くここにいてもいいから。良さそうな家見つけたらそっち行けよ」
「やった!雅人大好き〜!」
先程とは打って変わってキラキラした表情で飛び付いてくる。やめろ、重いと払いのけるが後ろから抱きつかれてもはや抵抗できない。
他人の温もりに慣れなくて少しばかり鼓動が速くなるのを感じた。
本当何なんだよ、こいつ。調子狂う………。
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